第18話 陰謀1
【陰謀1】
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□■□ アメリア Side □■□
アメリアはベッドに伏せって泣いていた。
「アメリア大丈夫よ、あんな豚野郎の所なんかやるもんですか?」
リネーネはアメリアの背中を優しくさすりながらこの結婚に反対な事をアメリアに告げた。
「でも、お父様が・・・」
「まあ、あの人があそこに嫁がせるにはそれなりの理由があるんでしょうけどね。」
「お金よ、あそこはお金持ちだからそれをお父様は当てにしてるんだわ。」
「アメリア、それは無いわ、お父様だってそこまでバカじゃ無いわよ、あそこはお金はあってもうちには1ルドだって出さないことぐらいお父様だって分かってるはずだわ」
リネーネが考える通り、ランドル家はケチで有名だった。自分たちは湯水のごとく使うくせにメイドたちの給金は何かにつけて引いていた、また、いきなり手籠めにされるメイドも多くメイドの入れ替わりの激しいところで有名だった。
何が理由かしら、あそこへ嫁がせてもうちには何のデメリットも無いわ、それでも嫁がせるだけの理由はなにかしら?
「シロちゃん、アメリアを嫁がせる理由は何?」
「へっ、知りませんよ、なんでこの家で一番理由を知ってないはずの俺に聞くんですか?」
「あら、アナタは知ってるんじゃ内の?、理由もそしてその対策までちゃんと考えている、どう、違って?」
「どうしてそう思うんですか?、リネーネ様」
「答えは簡単よ、アメリアの話を聞いた時にアナタは全く動揺もしなかった、それどころかアメリアを庇おうともしなかった、今までのあなたのアメリアの対応を見てたらそうとしか考えられないわ。」
参ったな、流石リネーネ様、実質的に領地を運営しているだけのことはあるな・・・
「確かに理由を知っています。無論対策も知っています。」
「俺のアメリア様をオークの餌になんか為る訳は無いでしょう」
「シロ、本当?、本当に本当?、あぁ、大丈夫だよ、絶対あんな所には渡さない、そしてこの家にも迷惑は掛けないことを従者として約束するよ。」
アメリアは捨てられた子犬の様に震えてすがる様な目で俺を見ている。
「本当ね、信じて良いのね、シロ?」
「あぁ、信じてくれ。」
「うん、信じる」
アメリア、泣いたカラスがもう笑ったの例え通りに急に笑顔になった。
「さて、アメリアは落ち着いたとして、リネーネ様はどうします。」
「許せないわ、このあたしに黙ってこんな事を進めるなんて、暫く実家に帰って、父親に説教して貰うわ」
うーん、やっぱりリネーネ様は敵に回す訳には行かないな。
「シロちゃん、送ってくれる」
「それがですねぇ、転移は一度行ったことがあるか、大体の予想が付いて千里眼が探せる所しかいけないんですよ。俺この国の地理はまだ、分かってないから難しいですねぇ・・」
「そうなの?、そうなると馬車で五日、揺られることになるのよねぇ、そうなるとあの人が頭を下来るのは、王都が終わった後に成るわねぇ、どっか近場のお友達のところへ行こうかしら?」
「リネーネ様、なんでしたら家に来ますか?」
「うちってシロちゃん家?、何処にあるの?」
「全く別の世界です。」
「あっ、いろんな物が溢れてる世界ね、いく、いく、行きたいわ、シロちゃん連れてって」
「あぁ、お母様、狡いあたしの従者なのに・・・シロあたしも連れてって・・・」
シロの世界って、美味しい物が一杯あるところなのよねぇ・・まさか、私がいけるとは夢にも思わなかったわ、凄い楽しみだわ。
(お兄様ってすごくかっこいいし、楽しいからお兄様のお家を見てみたいなあ)
「あのぉ、私も付いて行きたいです。」
ソフィーがもじもじしながら行きたそうな目で俺を見ている。ここで連れて行かないなんて言ったらいじめみたいな雰囲気になりそうだし、ただ、侯爵はダメっていうだろうなぁ・
「うんいいよ、でも、お父様の侯爵様に許可がもらえたらね」
「じゃ、2日ほど行きますか?、それなら王都行きも間に合いますし」
「それでいいわ、アメリアも良いわね、」
「手ぶらで結構ですよ、必要な物は向こうで全て準備出来ますから・・・」
こっちの物を色々持って行かれて向こうの街で出歩かれても目立って仕方ないし、ここは手ぶらでお願いした方が無難だろう。
「じゃ、着替えのお洋服だけで・・・」
「向こうではこちらの服は目立ちますので、向こう出来る服は向こうで用意します。」
「シロには悪いけどお世話になるわ」
「では、決まりですね、一応、辺境伯には伝えてきます。」
「言う必要は無いわよ、」
「いえ、そういう訳には行きませんよ、リネーネ様」
「それでは私は行かないから伝えてきて・・・私が留守の間、しっかり反省するようにと・・」
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食堂へ来た。
辺境伯と侯爵が難しい顔をしてお茶を飲みながらうなり合ってる。
この絵面はなかなか見れないだろうなぁ・・笑える。・・
「シロ殿、アメリア嬢の様子はどうかね?」
「はい、泣いておられましたが今は、落ち着かれて元気です。」
「で、どうするんだね。」
「リネーネ様から辺境伯への伝言があります、私がいない間、しっかり反省するようにと・・」
「はははは・・・」
侯爵が苦笑いをしている中で辺境伯は,何やらどうして良いか分からないって感じで下を向いたままだ。」
「所で何処へ行かれるのかね?」
「はい、王都行きの件もありますから、実家だと転移は仕えませんし、馬車だと日数も掛かりますので、私の家に遊びに来て貰うことになりました。」
「君の家とは、その例の別の世界のことかね?」
「はい、そうです。」
これを聞いた、両名はかなり驚いている。辺境伯は顔を上げて俺を見ているし、侯爵は何だか悔しそうな顔をしている。
「所で何でここにソフィーがきてるんだ・・・」
俺は優しくソフィー背中を押した。
「お父様、私もシロ様のお屋敷に行ってきてもよろしいですか?」
「アメリアやリネーネ様のお邪魔になるので遠慮しておきなさい」
「お父様、私、シロ様のお屋敷に行きます。」
「・・・・・」
やはりか、こいつは普段はおとなしいくせにこうと決めたらもう、何も言っても動かんだろう。はぁ、仕方ない
「儂もいけないだろうか?」
「辺境伯をお一人残すのはどうかと・・・それに女性二人が一緒でうちは狭いです。それに詳しくは言えませんが一定の条件がありますから・・現時点では難しいと答えるしかありません」
「そうかぁ、仕方ないのう」
「娘をよろしく頼む」
「はい、責任をもってお預かりします。」
侯爵はまるで世界の終わりが来た様な顔をして残念がっている。相当行きたいのだろう。
分からないでもないけどね。
「所で君の考えを聞かせてくれんか?」
「は、僕に家に行くことですか?」
「ちがう、アメリア嬢のことじゃ、笑顔になるにはそれなりの理由があるじゃろう、どうやって宥めた」
「アメリアを誰にも渡さないし、家にも迷惑を掛けないと約束しただけです。」
「つまり、君はアメリア嬢の事は既に対策を考えているんじゃな?」
やっぱり、このおっさんは鋭いなぁ・・・アメリアを慰めるにはそれに足りる理由を話したと読んだみたいだな、面倒くさいからある程度話して打ち切るか?
ソフィー、侯爵様と少しお話があるのでアメリア達と行く準備をしておいてくれないか?
「はい、シロ様、用意してますので早くいらしてくださいね。」
ソフィーが急いでアメリアの元へと飛び出していった。
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2018/09/05:誤字、脱字修正しました。
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