第4話 召喚獣はお風呂好き
【召喚獣はお風呂好き】
アメリアの部屋のベッドでまったりとして話をしている時だった。
「シロは元の世界では何をしてるの?」
まあ、魔物って言えば普通は捕食以外には寝てるんじゃ無いかとアメリアは思っていたんだけど取り敢えず聞いて見た。
「そうだね、結構、忙しく働いているよ。普通は朝から夜遅くまで働いていて週のうちに1日ぐらいは休みがあるって感じかな?」
「えーーっ、そんなにお仕事してるの?、じゃ、召喚したのは迷惑だったんじゃないの?、大丈夫なの?」
「まあね、確かに、呼び出された時は9割はかみ殺して帰ろうって思ってたさ、でもアメリアを見ててちょっと引かれる物があった、それを見届けてみたいって思いもあったしまあ、厳しいっちゃ厳しいけど他ならぬアメリアの為だから感張るよ。ある程度、徹底の調整が出来ると嬉しいな。」
「ふーん、魔物もやっぱり高位になると忙しいんだね、その辺は人族と同じなのかなぁ・・・」
「色々と大変だろうし、迷惑を掛ける主人だと思うけど宜しくお願いします。」
「あい、分かった。あっ、所でギャラは出るの?」
「ぎゃら?」
「給料、報酬、こっちではなんて言うのかな?」
「あっ、大丈夫、給与でも報酬でも通じるよ、でも、魔物でもお金が必要なの?」
「有ったり前じゃん、向こうの世界でもちゃんと報酬を貰って仕えて生活してるんだよ、そんな食べればそれで満足って訳無いでしょ。。そもそも、フェンリルを飯だけでただ働きさせ様なんてチョロい事考えてないよね。」
(すいません、考えてました。)
「分かってるわよ、もちろん、ちゃんと考えてたわ、ただ、どれくらいかが分からなかったから・・」
(ヒェーーッ、どうしよう、召喚獣にお金払うなんて思ってもいなかったわ。そんな無いわ、どうしよう、仕方ない、お小遣いから切り崩して行くしか無いわね。)
「1ヶ月に何日呼ぶかまだ分からないから日当で良いかしら・・・そうね、1日、500ルドでどう?」
「500ルド?、一日に500ルド?、それマジ?」
「うん、マジだよ。」
うふっ、あまりの高給に驚いてるわね、魔物だもんね。
「それ、こっちの時給より安いんだけど・・・まあ、いいか、その金額で手を打つ事にしよう」
「所でそんなに安かったの?、シロってどれくらい稼いでるの?」
「こっちの物価に換算すると年間で1,500万ルドぐらいかな?」
「ヒェーーッ、そんなに稼いでるの。..」
「皆、そんなに貰ってるの?」
「うーん、平均だと400マンルドちょっとぐらいだと思うけど・・・実際は200~300の人が多いんじゃ無いかな?」
「・・・シロは高給取りなんだね。」
(辺境伯の令嬢の方がずーーと貧乏、従者が主より稼いでるって・・・悲しすぎるわ・・・)
「ま、フェンリルだからね。」
実は単にちょっと給与が良い商社マンなだけなんだけどね、それは言えないし・・・
「さぁ、悩んでいても仕方ないから、ご飯の前にお風呂に入りましょう。シロも疲れたでしょう。」
(ふふっ、シロはお風呂は大丈夫かな、水が嫌いな子も多いし、もう、こうなったら石けんでジャブジャブ洗ってやるんだから)
「ワォン!!」
(風呂かぁ、フフフフっ、俺はフェンリルだから問題はないな、決してスケベな心ではない、欲情、もとい、浴場という、無防備な場所で主を護るには俺も一緒にはいるのは当然なのだ・・・あんなこと、こんなことも・・・)
意識はしてないのだけど、シロのしっぽはもう、目が回る様な速度でブンブンと回っていた。..
「あれ、もしかしてフェンリルってお風呂好き?、あ、自分できれい好きって言ってたもんね、ま、可愛いからそれはそれでいいんだけどね。」
脱衣所でアメリアの衣擦れの音がする。俺はそのたびにつばを飲み込んだ・・・これはスケベ根性で見ている訳では無い、あくまでも警護なんだと・・・
最後の一枚に手が掛かった時・・・
「ツー・・・」、鼻血が流れ出した。
まずい、不味いぞ、こんなとこ見られたら変に誤解されてしまう、俺は誤魔化すために脱衣所から浴場へと突進した・・・
スルッ、ツーーーッ、濡れた床はスケートリンクのごとく滑った、俺はそのまま突進し浴場の壁に頭を打ち付け意識を手放しかけていた。..
「あら、あら、待ちきれなかったの?、そんなにお風呂が好きだなんて知らなかったわ。」
アメリアは苦笑しながらもまんざらでも無いって顔をしながら浴場に入ってきた。
俺がはっきりと意識を取り戻した時は浴槽の中でアメリアに抱かれていた。
頬に当たる胸の感触が心地よい、適温の湯加減もあって至福の時だ・・・
(あーっ、日給500ルドでも良い、むしろ金を払っても良いくらいだ。..)
アメリアに抱かれて自由になる手でプニプニと押してみた。
(ん、凄い弾力、女神様、有り難う、俺は初めて女神に感謝した。)
「コラッ、シロちゃんはエッチさんね。もう・・・」
怒った様子は無くお湯を手で掬いながら俺の頭を撫でてくれている。
風呂に浸かりながら元の世界の妻の事を考えていた・・・
そう言えば妻の美恵子ともこんな時代があったなぁ・・・
お互い仕事が忙しく、ここ2,3年はろくに話もしていない気がする。
夜の夫婦生活なんてもう、何時だったか思い出せない・・・/
たまに時間を作ろうとしても『忙しい、疲れてる』そんな言葉しか返ってこなくなっていた。
よし、今度帰ったらケモノになってみるか?なんて事を考えたりしていた・・・
体を洗われたのは良いが、あまりにも酷かった。..元の世界では見なくなった洗濯石けんが何倍もましと思えるほど酷く、自慢の毛はばさばさだし、皮膚も何だかひりひりする・・・デリケートな俺には会わない、今度は自分用を買ってこよう。
フェンリル用なんて無いだろう、オオカミ用も無いだろうから犬用で大丈夫だろう。
ドライヤーも無い、その前に電気が無い・・・うん・・・・なにか考えないと・・・・
アメリアが自分の体を洗ってる間、俺は浴槽の中で泳ぎながら今後のこちらでの生活を如何に快適にするかを考えていた。.
(洗っている物体がプルンプルン揺れるのは決して見てはいない。)
風呂から上がるとメイドが水を用意してくれた。
「お風呂に入ったら喉がかわいたでしょう、はい、どうぞ!」
「ジェシカさん、有り難う。」
俺は遠慮なく用意された水を飲んでいると・・・
「本当にシロちゃんは偉いわねぇ、もう、名前覚えてくれたの?、うれしい・・・」
(そう言ってしゃがみ込んで頭を撫でてくれるのは嬉しいんですが、風呂上がりに目の前にパンツがあるのはちょっと刺激が強すぎて体に毒です。)
部屋に戻ってくつろいでいると。
アメリアが「シロ、こっちおいで」とベッドに誘ってくるのでベッドに飛び乗る。
。
「ねぇ、メイドはちゃんと名前で呼ぶのに私はどうして主なの?」
「そりゃ主だからだろう・・・メイドって呼んだら3人いるから誰か分かんないし、主は一人だから主で問題ないのでは無いか?」
アメリアは不満そうな顔をしている。
「私も名前で呼んで欲しいなぁ・・・」
「主が望むのであればそうしよう。アメリア様で良いか?」
「ちょっと硬い気もするけど、ちゃんっていう歳でもないし、召喚獣の従者から呼び捨てって言うのも対外的に不味いし、んーーっ、それでいいわ・・・」
「お嬢様、お食事の用意が出来ました。」
メイドのエミリーが夕食を知らせに来た。来たついでに俺の頭を撫でていく・・・・じっくり見るとやはり微妙な曲線は一人より違う様だ・・・
何でも無い、何でも無い・・・
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