第3話 召喚2

【召喚2】


 ネルソンは当主としての威厳を持ってシロに対応した。

 (何事も最初が肝心だ・・・甘い顔を見せると畜生はつけあがるからな)


 プチ、シロはちょっと切れた・・・が、アメリアの事を考えて持ち直した。

(ここで俺が切れてボコボコにしたら主の面子が潰れるであろう、これも定めと思ってぐっと我慢した。)


 「おっさんとは契約してねーから、しらね!」


 「魔物め、口の利き方も知らんのか?、不敬罪だ。成敗してくれる」

 ネルソンは剣を抜いた。


 「あぁ、誰が誰を成敗するだって?」

 シロは形態を元の大きさに戻し、威圧をはなった・・・

 「ヒッ、」、ネルソンは思わず尻餅を付いてしまった。


 「俺は魔物だ、何が不敬罪だ、人間が勝手に決めたルールを押し付けるんじゃなねぇ。それでもやるって言うんなら相手になるぜ!

 容赦はしないけどな!」


 「パン、」

 リネーネが手を叩いた・・・

 「シロちゃんの言う事が正しいわよ、、シロちゃんに人間の決めた不敬罪なんて適用される訳が無いじゃ無い。


 シロちゃんはフェンリルなのよ。こちらがちゃんと敬意を持って接すればちゃんと答えてくれる良い子だわ。」


 「リネーネ様、有り難う御座います。」

 「ん、シロちゃんは良い子ね、だからパパを食べないであげて頂戴。」

 「はい、リネーネ様、取り敢えずは非常時の保存食程度には考えておきます。」


 「ん、ぐぅっ・・・」

 

 そこに司祭が割って入った。

 「辺境伯、神獣格のフェンリルに剣を振るえば必ず天罰が下りますぞ、剣を納めて謝罪をして下さい。」


「わかった。」

 辺境伯は渋々といった様子で剣を納め、「済まなかった。」と形ばかりの謝罪をした。


 「良いであろう、今回はリネーネ様に免じて謝罪を受け取ろう、次は無いと思うが良い。」



 久志は思った。

 俺ってこんなに態度がでかかったっけ?、どっちかと言うと内向的な性格だったはずなんだけどなぁ・・・

 そう久志は気づいていなかったのである。人からフェンリルに変化した際にフェンリルの体に心が引っ張られている事に・・・人とは別格の力を保有したフェンリル。である、体に精神が宿る訳では無いが強い肉体には強い精神が宿るのだった。


 「さぁ、おうちに帰りましょう。」

 帰りの馬車ではアメリアの膝に抱かれて帰った。アリアの胸に顔を埋めての帰り道は幸せ・・・アメリアは片手で余るぐらいだろうか、俺的には十分満足出来るサイズだなんて考えてた・・・


 (あぁ・・・フェンリルとしてこのまま、暮らすのも悪くないかも知れない、そんな事を考えているうちに家に着いた。)


 アメリアの自宅の大きさに驚いた。

 (すげーっ、辺境伯とも成るとこんな家に住んでるのか?)

 久志は日本の住宅事情の観点からしか物が見えないため、辺境伯の自宅はとてつもない大きさに見えた・・・


 執事やメイドが勢揃いして出迎えている。

 久志は物珍しそうに辺りを見回していた。


 「お嬢様、召喚、ご成功なさったのですね。おめでとう御座います。」

 メイドが一斉に声を掛けてきた。

 「所でお嬢様、その召喚獣は犬?、いやいや、オオカミの子供ですか?、毛並みからしてシルバーウルフとは違う用ですから白狼ですかな?、それにしても見事な毛並みですな。荘厳と言った言葉が似合いそうです。きっと高位の魔物なのでしょう」


 執事が召喚獣の種類を決めかねている様だった。


 「ロゴス、彼はフェンリルよ、今は都合上、小さくなって貰ってるの、良いわ、シロあなたの姿を見せてあげて」


 シロは本来の大きさに戻った。


 「ヒーーッ、お助けを・・・」

 メイド達は驚いて座り込んでしまった。

 (パンツが並んで丸見えだ・・・眼福で御座る、んーー太股がなめまかしいい・・・・これが人間だったら、完璧変態扱いだな。あぁーーっ、フェンリル最高!!)

  

 「シロはフェンリルの上位体で神獣のフェンリルですわ。」


 「メイドの皆さん、召喚獣のシロです。仲良くして下さいね。気軽にシロって呼んで貰えると嬉しいです。」

 シロはまた、小型化した。..


 「キャーッ、可愛い。..毛並みも気持ちいいわーーお姉さんと一緒に寝よう!」

 暫くの間、メイド達にもみくちゃにされながらもまんざらでも無くへらへらとして居るシロだった。


 「あなた達、いい加減にしなさい、シロが困ってるでしょ。」

 「あんたも、フェンリルなんだからもっと威厳を持ちなさい。大体、主人以外には懐かないんじゃないの?」


 「確かにそうであった、主殿、しかし我は堅苦しいのは望まん、メイドの皆さんとも気楽に接したいのだ・・・」


 「ほんとにもう・・・変わったフェンリルね」

 アメリアはちょっと呆れていた。自分の想像しているフェンリルとはイメージが異なったからだ・・・


 ただ、アメリアも勘違いして居るのだが、本来のフェンリルならアメリアに契約されるなんて事は無いって事を・・・


 「執事のロゴステスです。この度はお嬢様の従者になって頂き有り難う御座いました。何か御用の歳は遠慮なくお申し付け下さい。」


 「これはこれは、ロゴステス殿、ご丁寧な挨拶、恐れ入ります。我は、この世界の事は何も分からない故に色々と訪ねて迷惑を掛けると思うが色々とご指導ご鞭撻して頂けると有り難いです。」


 「さぁ、挨拶はそれぐらいにして部屋に行くわよ!」

 シロはアメリアに連れられていく・・・


 

 「いやー、フェンリルと聞いて驚きましたが、流石に高位の魔獣とも成ると礼儀正しい物で粋な、相当、知能も高いのでしょう、また、違った意味で驚かされました。」


 「確か、この国ではフェンリルを従者にした者はいなかったはずです、それが上位体の神獣フェンリルとなると歴史上、初めてかも知れませんね。お嬢様、注目を浴びますよ。」


 「欲しがる輩に目を付けられるかも知れません、お気を付け下さい。とは、言っても神獣のフェンリルに手を出せる者はいないと思いますが・・・」


 「ほんとよねぇ。..でも礼儀正しくてとっても可愛い・・・もう、抱きしめたく成っちゃう。けど、本気出すと殺気だけでも立っていられないぐらいだったから大丈夫よ、」

 「召喚の時に出した威圧でもかなり手抜きしてるみたいだったわ」 

 「それほどですか・・・」

 「執事はシロの凄さの一端を垣間見た気がした。」


 「うふっ、あの子、主人の事は『おっさん』や『非常食』って呼んだのよ」

 そう言って伯爵夫人のリネーネは笑っていた。


 「えーっ、そうなんですかぁ・・・」

 「まあ、最初はあの人が自分が召喚したわけでも無いのに、頭ごなしに仕えよなんて言うからシロちゃんが怒っちゃって。..」


 「アメリアが何とか取り直したから良かったけれど、そうじゃなければ今頃、食べられてたわよ。」


。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。


 「シロちゃん今日はお疲れ様、その辺の適当なところに楽にしてて・・・ちょっと着替えるから待っててね。」

 「そう言うと、アメリアは無造作に服を脱ぎだした、それもそのはず、フェンリルと思ってるから気にしてない訳で久志がいると思えば無論変態とののしられて叩きのめされるのはわかりきっていた。

 

 シロはまさか、この時点で人間だと告白する訳にも行かず、後ろをむいていることにしたが・・・・理性より本能が優先している様であ、ガン見してしまった。


 ブロンドの髪に真っ白な肌、出るところはそれなりに出ていてくびれるところはしっかりとくびれている、うーん、眼福である。

 大人のエロさは無いがなになに、十分にそそられる。..

 人間との告白を先延ばしにする事に決めた・・・


 (しかし、俺ってこうも理性が弱い人間だったかなぁ・・・むしろ今までは理性が強すぎてチャンスを逃してきた気がするが・・・)

 本人は気づいてないがフェンリルの特性に引っ張られているのを未だに気付いていない。


 アメリアは部屋着のワンピースに着替えた、豪華ではないが無駄な飾り付けもなくシンプルで好感が持てる何より生地が薄いのがいい・・・


 アメリアはベットに座って自分の事をいろいろと聞かせてくれた、召喚が不安だったことも、切迫している訳ではないが領地の経営はうまく言っているとはいえず、他家から狙われている事など。

 アメリアはどうやら父や兄を支えて領地を盛り返して行きたいらしい。

 (辺境伯自体、いい人みたいだが、脳筋だからなぁ・・・良い様に周辺の領主から使われているのかも知れないな)


 アメリアは俺の事も訪ねてきた。


 「ねぇ、シロはどうして私と契約してくれたの?」

 (女神から強制されましたなんていえる訳ないしここは適当にごまかして乗り切るか・・・)


 「確かに魔力や強さでみれば全然、話にならなかったな。あえて言えば直感、それにアメリアは可愛かったしね。」


 「アメリアになにをしてあげられるかはわからなかったけど、俺が幸せになれそうな予感がしたんだよ。答えになってないか?」


 「うん、ありがとう・・・」

 アメリアはシロを後ろから抱えるようにして抱きしめた・・・

 胸は苦しかったが、背中から頭は柔らかい感触で極楽だった・・・これって、ワンピース一枚の感触だよね。。。 ムフフフッ、至福のひと時だ・・・


♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*゚♪

2018/09/02:誤字&脱字を修正しました。


 

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