第10話安全第一
1年生は学年行事として、バスケットボール大会が開催されることになっていた。演奏会が1月28日の日曜日だが、その直前の23,24,25日の水、木、金に行われ、1組から10組まで、順位を争う事になっていた。
メリー・ウィドウはほぼ仕上がった。細かい修正を毎日しているけれど、もう大丈夫。けれどソロ部分が何度か出てくるので、その音が気になる時もある。毎日の練習が必須だった。そして、これは一人でも欠けたら成り立たないという危機感も伴う。もし突き指でもしたら・・・そう考えると怖い。
部活が終わった後、片付けをしながら和馬が、
「なあ、バスケ大会どうする?俺、バスケあんまり得意じゃないし、もし突き指したらまずいじゃん?出るのやめようかな。」
「俺も、バスケはそんなに得意じゃない。突き指は相当やばい。バックレるか。」
佐々木も言った。
「俺ははっきり言ってバスケは苦手だ。俺の場合突き指くらいならそれほど問題ないけど、足を怪我したらバスドラ叩けないから、俺も出ない。」
角谷が言った。そしてみんな朴を見る。
「俺は出るよ。バスケ得意だもん。」
と朴は言った。
「それに、バスケやったところで、突き指なんてしないよ。」
更にそう言った。
「でもよ、フルートは突き指したら絶対吹けないだろ?」
和馬が言うと、
「だから、突き指しないって。俺が出なかったらクラスの奴らに何言われるか分かんねえぞ。」
朴はそう言って笑った。朴は中学でバスケ部だったのだし、182センチの長身だ。朴にバスケ大会を棄権させるのは気の毒と言うものだ。
「そうだよな。ヒョンスは出ろよ。」
うんうん、と3人はうなずきながら朴の肩を叩いた。いや、背中を。肩は届きにくいので。
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