わらび餅フラストレ―ション

「ゲ―ム、ですか?」

「そう。その名も『禁欲のラブタイム』」

「な、なんだかとっても卑猥です! ハレンチ!」

「僕は出会って間もないキミに告白する変人だけど、出会って間もないキミを襲う変態じゃないよ」

「男は見境のない獣だと、ネットの友人に聞きました」

「そんなふうに見えるかい?」

「人は見かけによりません」

「安心していい。今の僕は限りなく無力だ」

 視線で固定された右の二肢を示し、その内足を大事ない手で持ち上げ動かし、マッチョさんが車イスと一緒に置いていった松葉杖を支えに片足で立ち上がる。相応の痛みは感じたが、そんな刺激には当然反抗。

「な、なにをする気ですか!? 私は付き合って早々貞操を捧げるほどふしだらじゃありません! ブルブル」

 身を強ばらせ、自身の体を守るようにベッドの上で後ずさる彼女。そんな姿を見つめながらニヤリと笑い、

「こうするのさっ!」

「キャ――!!」

 我ながら器用に杖を操り、机に放置されていたわらび餅を奪取した。

「それは私のです!」

 怖くもなんともない、むしろ可愛いくらいの睨みに近いなにかが飛んでくる。

「ああ、わかってる」

 僕は片足立ちのまま、すぐにパックを元あった場所に戻した。

「ハテナ?」

 怪訝そうに僕と餞別とを見返す死にたガ―ルに、杖をカコンと鳴らしてゲ―ムの説明を始める。

「ル―ルは至って簡単。今から僕は、少し用があって出かける。それが終わって帰ってくるまでにそのデザ―トが食されていなかったらキミの勝ちだ。イイものをあげよう」

「……私が負けたら?」

「これから毎食キミがお茶を飲む度に、僕は強烈な変顔でそれを見守る」

「あなたはレディ―に鼻から緑茶をバ―ストさせる気ですか!? ギョウテン」

「負けなければいい話だ。な―に、そんなにはかからないさ」

 暫し首を捻り眉間にシワ寄せ唸りながら目をパチクリさせて悩んでいた様子の死にたガ―ル。しかしようやく覚悟を決めたらしい。

「……わかりました! その勝負、受けて立ちましょう! ジンジョウ」

 決意の鼻息荒々と、ない胸が張られる。

「よし、ゲ―ムスタ―トだ」

 僕は宛がわれた車イスに腰を下ろし、適当に大部屋の前を通りかかった”普通の”ナ―スに声をかける。

「じゃあ」

 そして一言だけ残し、そのナ―スに一階にある購買まで送ってもらう。部屋を出る途中一度だけ振り返ってみると、残されたパックを見つめながらヨダレを垂らし瞳を乱舞させる、開始早々早くも限界間近の彼女が映った。

(どんな禁断症状……!?)

 これは容易く僕の勝ちが決まってしまうかもしれない。……それじゃ意味がないんだけどな。

 一抹の不安を抱えながら、僕と名も知らぬナ―スさんはエレベ―タ―に乗り込む。


          †


「だから好きじゃないって言ってるじゃないですか。僕の人生でわらび餅なんて食べ物、あと十回も口にしないでしょう」

「『だったらプレゼントでしょ』って、私も再三聞いてるじゃない!」

「こっちこそ、それについては『プレゼントではなく耕作』だと何度も明言してるじゃないですか」

「だからそれが意味わかんないの! なに、庭にわらび餅植えたら新しいわらび餅が芽吹くわけ!?」

「……バカなんですね」

「ムキ―!!」

 と、そんな楽しい楽しい会話を密閉された空間で繰り広げていると、到着を知らせる音が鳴る。一拍置いて、ドアがゆっくりと開いた。

「さあ、行きましょうか」

 顔を真っ赤にして憤慨しているナ―スに提案。徐々に上った血を冷ましながら、彼女は苛立ち混じりのため息を吐いて進行を始めた。

 見舞いや健診など、入院患者以外の来訪者も多く行き交う入り口正面の廊下隅に、それはあった。喋るはずもないリアルの人間をプリントした看板が、『いらっしゃいませ』なんて至極ありふれた文句を発している。お望みのままそこへ招かれてやり、

「ッ!?」

 遭遇。レジにて会計を済ませている最中のナ―ス(ソルジャー)に。言わずもがな、マッチョさんである。

「おや?」

 こちらに気づくと彼女はニヤリと笑い、僕の言わんとしたことを先に封殺した。

「ちゃんと調理師には、既におまえの欲しているものを伝えてあるから安心していい」

 ……こんの性悪レスラ―め。大人しくマスクでも被って、標的をリングに沈めていればいいものを。

「ん? なにか言いたげな顔じゃないか」

 嫌味ったらしく、巨塔のように大きな身体で僕を見下ろすマッチョさん。

「……なんでもない」

 ここは下手に歯向かうべきではない。我が身の保身のために。それくらいの分別はつけている。

「行こう」

 首で食品コ―ナ―の一角を指示。しつこいようだが”普通の”ナ―スは車イスを発進させた。

「北条、あんましそいつに振り回されるんじゃないよ」

 そのナ―スにマッチョさんが声をかける。

 ほうほう、この話がいのある人間は北条というのか。なんて、一つ学べたと思ったら、ちゃんと胸に止めたプレ―トにフルネ―ムが記載されていた。

 北条(ほうじょう)美咲(みさき)。顔と名前を頭で一致させるため、幾度か本人とプレ―トを黙視。

 正直、名前の隣に貼られた写真のほうが可愛かった。大きくて澄んだ目だったり、潤いに満ちていて少しばかり嬉し恥ずかしげに緩んでいる唇だったり。沈黙の世界の彼女には、確かな希望や活力が感じられた。

「……」

 が、現在はどうだ。耳上まで伸ばされ、ナ―スらしい清楚な印象を与える、眉の上で漢字の八の字に切り分けられた髪型は同じでも、そこにはどこか覇気がない。淀んでいるとまでは言わないが、こちらを見る瞳に活力はなかった。口元にもそこはかとなく疲労を感じる。

 ……ちょっとからかいすぎたかな? 些か反省。

「私の顔になにかついてる?」

 いつの間にか、僕をネタにして展開していたマッチョさんとの会話が終了。北条は、不思議そうに僕のことを覗き返してくる。

「や、なんでもない」

 適当に思考を終わらせ、僕は目的の品へと視線の方向を変えた。

 パンやお菓子等の常温保存に向いた食品を鎮座した一角に、それはあった。賞味期限なんかも適当にチェックしながら、僕はその品を数パック、北条の持ってきたカゴに放り込む。

「はぁ……やっぱりあなたの行動は謎ね」

頭に後ろから浴びせられる、どんよりとしたため息。

反省から、決して高くないスル―スキルを発動して反抗心を抑え、さらに当初の予定にはなかったロ―ルケ―キも安物ながら買うことに決めた。他に、健康児だったつい数時間前まで飲んでいたスポ―ツ飲料水もいくつか選んだところで買い物は終了。一言告げて、北条にレジまで押してもらう。

 それで、会計時。

「……んああ、これも頼む」

 ふと目についたガムを店員に手渡し。結果として予想外の出費が増えたが、まあこれくらいは許容範囲。僕の懐には響かない。

 諸々の商品が入った袋を北条に持たせ、僕達はコンビニを出た。そして早速、僕は危険因子の撲滅に動き出す。

「よ―し、北条ダッシュだ」

「なんなのその技名!?」

 びっくりが、唾でも飛びそうなくらいの声に変わって院内の天井高くに呑まれていく。いちいちリアクションが不相応に大きくて面白いヤツだ。

「すまない、文節で区切って訂正しよう。北条、ダッシュだ」

 腰を背もたれに預け目指すは、ここへ来るために利用したエレベ―タ―のある場所。

「しゅっぱ―つ!」

 僅かばかり童心に返り、駅員よろしく進行を指で指示する。が、

「院内の暴走は禁止されてるから」

 北条の歩みが、テクテクからズダダダに変わることはなかった。

 これでは困る。

「僕が許可しよう」

「そんな権限ないでしょ。第一あなたは病人」

「違う、ただの怪我人だ」

「同じじゃない」

「……どうやら一般人と専門家では見解に相違があるらしい」

「そう。私達にとっては怪我も立派な病なの。等しく治すべき対象よ」

「大層な格言で」

「といっても、じつは受け売りなんだけどね。さっきすれ違った人の」

「ああ、あのムキムキボディ―の」

「そう! 通称マッチョさん!」

 ────勝利の沈黙が場を制した。

「……えっ?」

 少しずつテンポのいい会話の魔力に呑まれ失態を晒した北条が、不思議そうに疑問符を落とす。

 僕は振り返り、北条を見た。そこには漠然と。何もわからぬまま顔を引きつらせている彼女がいて。

「ククッ……」

 口車が狙い通りに運行したことを確信し、ついに僕は笑いを禁じえなくなった。

「クハハハハハ!」

 廊下に狂った喜悦が蔓延する。我ながらバカ笑いだ。

「な、なに!?」

 己のミスにすら気づいておらず、ただ変化に慌てる北条は自分と同じく滑稽。

「ククッ、いやぁすまない」

 込み上げてくる嘲笑を抑え、

「にしても、そうか……」

 僕は事実を知らせ、未来の行動を誘発させる意味の呟きをわざとらしく溢した。

「”マッチョさん”かぁ」

 以前死にたガ―ルがそうだったように。北条もまた、現実を自問自答して見つめるべく職務を放棄して固まっていた。

 だが、今回はそれを悠長に待ってやる時間はない。もう一度、

「マッチョさん」

 呟く。そこでようやく、彼女は自分の置かれた状況を認識した。

「ッゥお願いだからアリスさんには内緒にしといてっ!!」

 瞬時に目の前までやってきて、治すべき対象だとか語っていた怪我人の両肩を鷲掴む。表情から容易に悟れる切迫、焦燥、恐怖。どうやら職を共にする人間にとっても等しくマッチョさんはマッチョさんで、畏怖を抱く存在らしい。

 もし彼女に一片でも”女の子”が残っているとしたら。陰でブルド―ザ―に例えていることを知られた瞬間、命は風前の灯火となるだろう。

「マッチョさん。マッチョさん。筋肉兵士マッチョさん」

「きゃあぁ! やめてやめて!」

 ただでさえ活力のなかった顔が、みるみる血色を失い青くなっていく。それからもさらに数回未来のガクブルを言葉にしていたぶったところで、僕はついに救いでありトドメの一言を口にした。

「なら、ここでもう一度提案しよう」


          †


 閉まりかけの扉。ぐんぐんと。そこに迫る身体。コンマの瞬間毎に世界が狭まり、そして、

「ドゥアルバァアア―!!」

 北条の咆哮が院内に轟いたところで、僕は目的の場所へ、目標とした時間に到着した。まさに滑り込みセ―フ。ガタン、と。車イスが大きく振動する。アメフトのランニングバック宛らのタッチダウンを決めた北条は、この短い時間に命を燃やしたらしい。精神的にも肉体的にも一気に疲弊した様子で、グニャリと床に倒れ伏した。ちゃんと買い物袋を僕に渡してから。

どうやらよっぽどあの脅しが効いたようだ。すれ違う人間全てが唖然とするくらいに、見事なス―パ―カ―だったよ、ご苦労様。

 だからもう────ゆっくりと休んでくれ。いろんな意味で。

「……ほォ~ジョぉ~」

 先客であるウォリア―。マッチョさんが彼女を呼ぶ。

 もう一度言おう、北条。ご苦労様。──そしてご愁傷様。

「……な~んでぇ~す──」

 声の主も確認せず気怠そうに返事しようとした彼女の顔面が、

「ぶぎゅぅ!?」

 明々と血管の浮き出た、土管のように太い腕に掴まれる。持ち上げられる。潰される。プルプルと。メリメリと。それはもう蹂躙。一方的な捕食の図。

「車イスを押しながら院内を爆走してエレベ―タ―にダイブするナ―スがどこにいる?」

 ものの数秒で、北条から絶望と痛苦の呻き、それと抵抗の意志表示が消えた。死んだように、細い腕がダラリと垂れ下がる。

 ごめんよ、悪いとは思ってる。だけど僕にはムリだ。この筋肉兵器からキミを庇うのは。

 ──だって怖いもん。

 極力空気と同化し、僕はさりげなく階層ボタンを押して成り行きを見守った。

「……フン!」

 やがてエレベ―タ―が動き出し、動かない骸と化した北条が放される。立つ力さえ残されていなかった彼女は、まるで格闘ゲ―ムの敗北キャラクタ―。両の膝が折れ、そのまま正面から床に突っ伏す。哀れみと謝罪の意から、密かにぎこちない合掌を手向けておく。

 ──と、そのときだ。

(!?)

 存在を消すことに努めていたのに。やはり暴走搭乗を謀った僕には土台ムリな行動だったか。がっちりしっかりすっかりやっぱり、マッチョさんと目が合ってしまった。

「おい一郎」

 返事が……出てこなかった。それはたぶん、まざまざと惨劇を披露されたから。片手の握力だけで人間持ち上げるとか、もう人間じゃない。

「心配しなくても、患者のおまえにはなにもしないさ」

 そんなに今の僕の顔は青ざめていたのだろうか?

「気の弱い北条のことだ。どうせ捻たおまえに何かしらで脅されてテンパったんだろう」

 気が弱い──別段そうは見えなかったが。まあたしかに、簡単に荷物持ちなんかを引き受けてくれたのはありがたかったけど。

「しかしあまり調子には乗るなよ。少しでも、この標(しるべ)病院で健やかに暮らしたいならな」

 マッチョさんはニヒルに笑った。

「いやだね」

「ったく」

 やっちゃったよ。あまのじゃくなのも考え物だな。けれど結果は悪いばかりじゃなく。いつもの反抗心とともに、僕のところへ平素が戻ってきた。

 横たわる──横絶える北条を一瞬視界に入れてから、僕は袋から買った品を取り出す。

「マッチョさ──」

「アァ!?」

 飛んできた猛獣の睨み。背筋が凍った。危ない危ない。やはりこのニックネ―ムで彼女を呼べる日が来ることはなさそうだ。

 訂正。

「アリスさん、これをあなたに貰ってほしい」

 箇所箇所にフル―ツを盛り込んだロ―ルケ―キ。

「私に……?」

 獣が女に戻った。

「ほう、意外と気が利くじゃないか」

 先程人一人を葬った手で差し出したパックを奪う。パックは潰れなかった。力の調節は可能らしい。

「ありがたく貰っておくよ」

 隆起した起伏満載の凸凹顔が綻ぶ。「誰もプレゼントとは言ってない」

 だから僕はそこへ水を差した。マッチョさんの元々恐い顔がムッと強ばる。

「なんだい、勝手に買った品押しつけて金をせびろうってかい? とんだ詐欺じゃないか」

「違う」

「本当に?」

「ああ。これはむやみやたらな反抗じゃない。事実だ」

 僕はマッチョさんの持つ袋を指差した。

 「金銭はいらない。その中にあるものと交換だ」

 僕が売店にいったときは既に商品を詰めていたから、確信はない。だけど自信はある。

「そこに入ってるんだろ? 死に行く者への餞別が」

 絶対に推察を外していないという自信が。

 驚いたように、こちらを捉える目が見張られる。そして感嘆を声にするも、

「なんのことかね?」

 シラは切られた。ならばと。僕は屍の横で探偵の真似事を試みる。

「死にたガ―ルは言っていた。『アリスさんが食事を運んでくるときにだけ、なぜか自分の好物がつく』と。全て悟ったうえでの”なぜか”だった」

「……」

「それだけの証言で謎は解決だ。こんな中身のない事件じゃ、深夜枠も埋められない」

「回りくどいねぇ。ならハッキリ核心をついたらどうだい?」

「そもそも言葉にするには足りないレベルの微々たる違和を感じたのは──」

「……できるだけ難儀に」

「袋の中身は百円足らずのわらび餅だ」

 理論推論を垂れ流す探偵という役職は、なかなかに捻くれた僕にはおあつらえ向きかもしれない。暫時思考の間を作り、口を開いたかと思えば出てくるのは開き直り。

「たしかに、この中にはあの子へのわらび餅が入っている。だけどそれをおまえが手にしてなんになる?」

 じつに追い詰められた犯人らしい口ぶりだ。そこにマッチョさんが知らないであろう事実を付け足せば、僕はそんなものを貰わなくても既に別のわらび餅をいくつか購入してある。ロ―ルケ―キはそれら単品より少しだけ高いんだ。わざわざ交換するメリットはない。

 ────それが”普通の”わらび餅ならば。

「そのわらび餅を渡すのは僕じゃないとダメなんだ」

「訳は?」

「概念だ」

 マッチョさんの顔に怪訝さが浮かぶ。まるでもっと分かりやすく明答しろと威嚇されているかのようだ。

 だから僕は補足した。

「ナ―ス(あんたたち)が施す品と僕が渡す品には、決定的な違いがある」

 それはつまり────。

「そこに宿る願いの相違だ」

「……!」

 なにやら勘づいたらしく目が張られたが、ここまで言わされたんだ。最後まで通告させてもらう。

「アリスさん、あなたが渡しているそれに希望はない。彼女の生を諦めたあなたが贈るわらび餅は哀れみの産物だ」

 死にたガ―ルは死ぬのが決まっていると言っていた。そのことを宣告したのは医者。きっと素人の僕なんかには理解できない、高尚な医学的見地からの結論なんだろう。

 だからこそ、抗えない。そこに携わる人間には誰も、理論の裏付けを跳ね返せない。それをしてしまえば即ち、今まで培った知識を否定してしまうことになるから。

「彼女の生きる希望であることを決めた僕はそのわらび餅、生かすことを諦めたあなたに渡させるわけにはいかない。今後も一切」

 死にたガ―ルの運命に反抗できるのは、この病院でただ一人。なんの知識もない、どうして死ぬのかすら知らない、無知なこの僕だけだ。

 耳に心地良い標の音が鳴り、エレベ―タ―のドアが開く。ふと目をやると、ここに突撃するより前に光っていた数字の灯りが消えていた。

「──フン、まあ好きにしな」

 ガサゴソと袋が漁られ、マッチョさんから僕が買ったのと同じわらび餅が投げ渡される。僕はそれを健全な方の手で確かに受け取った。

「尤(もっと)も……そんなもんであの子の病が回復すりゃァ訳無いんだがね」

 溢れた諦観と一緒に。

「病も気からだ」

 とりあえず、意味もなく、あまのじゃくになっておく。

 ナ―スマッチョさんは軽く鼻を鳴らしてから、密閉されていた空間を出る。絶対的強者を吐き出し、やれやれと閉じていく扉。その隙間から、僕は屈強な背中に言葉を放った。

「僕は彼女をなんとしても生かすぞ。あまのじゃくの名に賭けて」

 最後まで聞こえたかどうかは定かでない。だけど確かに意志は放れた。

 この表明、暗に自己への決意改めでもある。

怪我が治り退院するまでに必ず、僕は死にたガ―ルを救ってみせるぞ。

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