水木美玖
秋に翠と正樹がインフルエンザで休んだ日、裕に言われた。
「未来は簡単に変えちゃいけない。変えたらその分大きな代償が自分に返ってくるから。でも俺ならきっと命に代えても翠を守ると思うんだ。」
唐突なことだったけど私も答えた。
「私だって正樹の為に自分の命捨てられるよ。」
「美玖はいつだって正樹が大好きって顔してるもんね。」
「当たり前でしょ。後は親友に翠とあんたがいればいいの。大人になっても変わらないから悪いけど。」
自分でも強気な性格なのはわかってるけどはっきり言うと恥ずかしくてもう二度と裕に言わないってその時はちょっと焦ってた。
「ずっと変わらないのはうれしいな。俺も変わらない。」
「変わったら殺すもの。」
そしたら裕は外見ていったの。
「もし翠が違う人と付き合って結婚する事になったら俺の事は思い出としてしまってほしいな。」
「何言ってんの、これからも先ずっと翠の隣にいるくらい誓いなさいよ。」
「誓うよ。死ぬまでずっといるって。その先の話さ。」
「意味が分かんない。そうしたら翠もあんたの棺桶にぶち込んでやる。」
「俺、キリスト?」
「知らないわよ!」
裕は笑って言ってたけどあれは多分本当に思っていたことだった。
「もうすぐ卒業式だね。」
その時風になびかれた裕の髪で表情は見えなかったけれど、
裕はその時もうすでに覚悟できていたんだと思う。
卒業式の日、正樹が慌てて走りだすから私も一緒に追いかけた。
「そしたらもう裕は翠を助けてた。未来を変えたのよ。」
そこで私は思い出した。あの時の言葉一つひとつ卒業式につながっていたこと。
いつもは泣かない美玖が翠の肩で泣いた。
二人は裕の言葉にもっと耳を傾ければと悔やんでいた。
「二人に言ったのは、言った言葉は多分、裕も二人が気づかないように言ったんだと思うな。二人がこれから前を向けるように。私には何も言わなかったもの。」
翠は美玖の背中をさすりながら言った。
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