壱ノ不思議 廊下の怪(23p)

床部分は土間の名の通り、固められた土に黒色の石が敷き詰められていて、いかにも昔の炊事場と言う雰囲気だ。

 土間から外に出られる様だが、戸は閉まっている。

 私は戸の鍵が掛かっている事を確かめて、うーんと唸った。

 台所には誰もいない。

 戸に鍵も掛かっている。

 しかし、声は台所から聞えた様に思う。

 やはり誰かがいて、声を掛け、そして、この戸から外へ出て鍵を掛けたのか?

 けれど、そうだとすると、何の為に?

「誰も、いないわよね?」

 私はもう一度、台所を見回して見た。

 誰もいやしない。

「誰か……」

 私は、誰かいるの? と声を出し掛けて、止めた。

 バカバカしい。

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