壱ノ不思議 廊下の怪(7p)

「なんですって? まぁ、こんな小さな子供を一人で来させる何て! お母さんは一体何を考えているのかしらねぇ!」

 呆れ顔のおばあちゃんに私は反論した。

「私、中学生よ、小さな子供じゃない! おばあちゃんの家くらい一人で来れるわよ! おばあちゃんは私が来て嬉しく無いんですかっ!」

 おばあちゃんから見たら、私なんて小さな子供以外の何者でも無いのだろうが、ウチでは家族から、うんざりするほど子供だ! 子供だ! と馬鹿にされているのだ。おばあちゃんにまで子供扱いされたくなくて少し、声を荒げて言う私に、おばあちゃんはクスクス笑って「ごめんよと」謝った。

「ごめん、ごめんよ。フフフッ。早紀ちゃんも、もう中学生じゃあ、立派な大人よね! まぁ、こんな田舎だけど、せっかく来たんだ。ゆっくりして行きなさいな」

 おばあちゃんは、笑いを堪えながら私にそう言った。

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