Case 1ー2  幼馴染

手を引かれて連れてこられたその場所はお世辞にも人がいるとは思えないようなオンボロな館のような場所で、ここ最近お化け屋敷でももっときれいなところだぞと言いたくなるくらいには汚くて。

なのに俺の隣で俺の腕をがっしりとつかんでいる幼馴染、、、奥原燐は満面の笑みである。何がいいのだろうか。


「みてよ修斗!ここだよここ!記憶保持屋さん。」

「って言ったってこんなところに人がいるなんて思えないけど俺には」

「物は試しって言うでしょ!しゅーくん」

「俺その呼び方やめろって言ったよなぁ?」


昔からこいつは俺のことをしゅーくんなんてあだ名で呼んでくる。

最近やっとの事で学校でその呼び方をすることをやめさせたのだけれども。


「だいたいお前、その記憶保持屋、だったか?にあってどうするんだよ」

「へっへっへ、どうするでしょうか」


まるでドヤァって言う文字が漫画やアニメなら出でくるであろう顔をしてこっちに指を向けて自信げ笑う燐に呆れたようにため息をつく。

こいつはバカなんだろうか。

あぁバカだったな。




なんて思いながらも子供のようにはしゃぎ回る

そんな姿が微笑ましくて思わず笑みがこぼれる。



「ばっかだなぁ」



なんて笑ってやればひどいっっとあからさまにショックを受ける燐。

なんだかんだ俺もこいつにこうやって振り回されるのが嫌いではないようで。

そんな時だ。







狙ったかのように。

誘うかのように。

その風は俺らの後ろから館に向かって押してくる。












「、、、、見たい記憶がある」




不意に燐の目からハイライトが消えさる。

暗い暗いその瞳には吸い込まれそうな何かがあって思わず一歩後ずさる。




















「ねぇしゅーくん」






















「 僕らは本当は”三人組”だったでしょ? 」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る