Case 1  古き仲はまどろみに

Case1– 1  幼馴染

”記憶を譲渡している者がいる”

”望んだものにしか見えない記憶を譲渡する店がある”


都市伝説。

おとぎ話。

そんな風な噂話。





「ばっかじゃねぇの」

隣で嬉々として「記憶を譲渡する不思議な店がある」というのを語ってくる幼馴染にそう吐き捨てる。昔からオカルトだの何だのそういった者が好きな憐は事あるごとに俺へとそういった話を持ちかけてくる。

正直俺は全くもって興味がないし、そもそも幽霊だとかそういった非科学的なものは全く信じていない人間である。

あんなのまやかしみたいなもので種明かしがあるものだと思っている。

だから憐の熱弁にもいつだって俺は無反応だ。

最近はもうそれにもなれたらしく俺が聞き流しているのを知っていながらつらつらと独り言のように憐は語る。まぁ本人がいいなら俺はそれでいいが。


「でさ、修斗」

「んぁ?」

「一緒に行って見ない?その記憶保持屋」


、、、、、、、、、。

こいつはバカなのだろうか。

何をどう見たら俺がこれで、いいね行こうなんていうと思えるのだろうか。


「ばっかじゃね?行くわけねーじゃん」

「えぇ、、いーじゃん行こうよー僕らの仲でしょー?」

「だーかーら、いかねぇって」

「お願いっ!一生のお願い!!」

「だーもー、、わかった!わかったよ!!行けばいいんだろ行けば」


いつにも増してしつこい憐の押しに仕方なしに了承すれば、花が咲くような笑みを浮かべ、「やったぁぁぁ!!」とガッツポーズを浮かべる幼馴染の姿に俺は本日なん回目になるかわからないため息を吐いた。

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