第2話

明けて、翌日。

 今日は二限からだから朝のうちにお寺さん行こう、と起き抜けにみずなは言った。

霊体と人間を四十九日の関係で結ぶ<忌結び>の儀式は、住職の仲立ちで行われる。電話で頼めば自宅まで来てくれるのだが、みずなは「お寺の中にも入れるし折角だから歩いて行こう」と主張した。みずながいいなら、と青葉は同意した。

そうして午前九時ごろ、近所にあった寺に青葉たちは向かっていた。

冷たい空っ風が時折強く吹いていて、ネルシャツに紺のカーディガンという初秋の装いだったみずなには堪えたようだった。みずなは小さなくしゃみをした。

青葉は「やっぱり」と肩をすくめた。

「寒いかもよ、っていったじゃない」

「うん、ありがとう。明日からコート出すよ」

「出すまで今日は寝ないからね。そう言えば、コートもそろそろ変えたら? あれ、高校のころからずっとでしょ」

「なんで? まだ着られるよ?」

「あー、まぁそうなんだけどさ……」

 みずなとは長い付き合いだが、見た目への無頓着さは相変わらずだ。話題にしたのも悪かったな、と青葉は天気のことへ水を向けた。

 話しながら行くと、十五分ほどの道のりもあっという間だった。

荘厳な寺門が、気づけば目の前にあった。みずなは目を輝かせながらそれを見上げて、もう一度跳ねる様にくしゃみをした。

 青葉はみずなの体調を気遣いながら、一緒に寺の看板を見上げた。

大学に入学した当初、みずなと街歩きをした折には、「お寺あるねー」くらいで済ませていた。門に掲げられている看板に書いてあった名前など、覚えてはいない。

「テライノチハス? どういう意味?」

 それを読んで青葉が眉をひそめるのに、

「右から読むんだよ、青葉ちゃん」

 みずなが淡々と言った。

「なるほどね。蓮命寺か」

 みずなはついでに、こういう看板は扁額と呼ぶのだと教えてくれた。

 大仰な名前だ。ただ、そうして大層な呼び名がついていなくとも、古めかしくて威厳を感じさせる代物ではあった。黒地に金箔の文字、という在りし日の姿は、筆でさすったくらいに縁に残った漆と、彫り抜かれた文字の形枠だけがこっそりと伝えている。

 長い歴史のある寺のようだった。痛んだ姿をそのままさらしていることは、青葉の専攻だった機械工学の立場からは信じられなかった。しかし、寺という場においてはその風化が武器になる。骨董品がこうして寺の門構えに鎮座していると、重ねてきた年月の重みがずしりとこちらにのしかかってくる。思わず身構えてしまうというものだ。

顔をこわばらせながらみずなに寺の来歴を聞いてみると、「知らない」と即答される。

「気になるの? 珍しいね、青葉ちゃんが歴史に興味持つの」

「まぁ、そんな気分の日もあるよ」

「じゃあ、時間あるときに聞いてみようね」

「うん、時間あったらねー……」

 おうむ返しの空返事をしてしまったのは、気が気でなかったからだ。

寺である、ということを改めて意識してしまったせいか。青葉の注意は、扁額に記された「命」の文字に吸い寄せられていた。

 ただ、恐ろしくて。目を離したら、まるで飛び出して躍りかかってきそうなくらいに。

年月の重みへの恐れがそう感じさせるのか。それとも、寺と言う場の聖性は、青葉のような邪なものに容赦がないのだろうか。「邪心抱く者立ち入るべからず」と、そう迫ってきているように感じる。

いずれにせよ、瞬きを繰り返すくらいでは、振り払えそうもない重苦しい圧力。生前に前を通った時にはかけらも感じなかった気持ちに、青葉は襲われていた。

「……怖い」

「コワイ?」

 みずなが繰り返したのが耳に入って、それが声に出ていたことに青葉ははっと息を呑む。

 じっとりと額に冷や汗が滲んでいた。

霊体も汗を掻くのか、体温調節の必要もないのに。

青葉は自嘲する乾いた笑いをスイッチに、むりやり意識を切り替えて、ようやくみずなの視線に応えた。

みずなは首をかしげながら、目を丸くして、わずかに細く口を開いた不思議そうな顔をしていた。

「そろそろ入ろう? 忌結びは結構時間かかるから、早くお願いしなきゃ」

 みずなは笑って、門へ振り向いた。

「あっ」

 カーディガンの裾を掴んで止めようとしたけれど、青葉の手はみずなの腰のあたりを突き抜けてすり抜けて、みずなはそのまま歩いて行ってしまう。

 恐る恐る見上げると、扁額はまだじっとこちらを睨んでいる。

 みずなの背中は遠くなる。

そしてはっと気が付いたように振り向いて、

「青葉ちゃん、早くー」

 無邪気に手なんか振ってくる。少しオーバーな、四半円を描くような軌跡で、今にも飛び跳ねそうな元気な動き。後ろで無造作に結んだ黒髪が揺れている。

 しかし、その年齢には不相応な愛らしい動作が、青葉の葛藤を打ち破ってくれた。

「……ごめん、すぐ行く」

青葉は意を決して、慌てて後を追った。

 門をくぐると、二十メートルほどの前庭の向こうに、恐らく本堂と思われる建物がある。その後ろには住み込みの住職たちが暮らすのだろう建物が佇んでいた。門に気を取られて見えていなかったが、年季に見合うだけの規模を持った寺であるようだった。

 石畳を進んでいると、お堂から尼が出てきた。尼はこちらに気が付いて、微笑んだ。

「どうしました。若人二人でこんなところに」

「はい。忌結びをお願いしたくて。いいですか?」

 みずながそう言うと、尼は微笑みの質を変えた。春の穏やかな日差しに対しているような心地よい最初の笑みに、わずかな影が差す。その一点の暗闇が、恐らくは死に際した人の心を引きつけるのだろう。太陽に手は届かないが、日陰には逃げ込むことができるのだ。

「もちろんよ。上がりなさい」

 促されるままに、二人は境内にあがって、襖をくぐった。

 お堂の中は、外見に反して少々手狭に感じる。天井が床面積に対して低めなせいだ、と青葉は気づき、頭上から迫ってくるその厳然とした気品の木目に睨みつけられていた。

門がそうなら、内装もまた腹に一物持っている者には厳しいらしい。

 尼は本尊の前に座布団を三角形に敷いて、奥側に座った。青葉たちもそれに倣った。

「じゃあ、改めて。私は田村穂乃果。ここの住職よ」

 尼――穂乃果はしなやかに名乗った。

「初めまして。巴みずなです」

「小日向青葉です」

みずなに続いて青葉も名乗った。

穂乃果は目を閉じてゆっくりと頷いた。そしてやおら青葉の方を見て言った。

「そんなに緊張しないで。何も恐れることなんてないのよ」

 飛んできた気遣いとも説教とも取れる言葉に、ぎくり、と頬が引きつる。

「……何のことですか」

 ひとまずしらばっくれてみた青葉に、穂乃果は微笑みを崩さない。

 優しいけれど、力強い視線だった。

大学の実習で扱った、ねじ山を掘るタップ切りの作業を青葉は思い出していた。

ゆっくりと、しかし確実に、穂乃果の視線は青葉の奥底へ至ろうとしている。心をじっくりと貫き通されている。思わず、本音が飛び出してしまいそうになる。

青葉はせめてもの抵抗にと、無表情を繕った。だが、寺を構成する素材ですら煩悩に敏感なら、そこに住まい人々と接する住職がそれを見抜けないはずもない。所詮は悪あがきだ。

「……いいえ、良いわ。無粋だったわね」

 果たして、そう首を振られたことで、懸念が確信に変わった。

この尼は青葉の恐怖の、更にその根源を見抜いて見せたのだ。最早超能力じみているけれども、認めざるを得ない。

そうだ。無粋の他に何者でもない。


――わざわざ秘めた恋心を、暴き立てようとするなど。


 みずなが青葉と住職を交互に見て首をかしげる。

「青葉ちゃん、どうしたの?」

「何でもない」

途端に、この場に座っているのが癪になってくる。秘めた気持ちをあっさりと暴いて、なおも平然と微笑む穂乃果の態度が、どうしようもなく嘲笑に見えてきて、腹立たしい。

青葉は最早、穂乃果を強い目つきで睨み付けてさえいた。

「その通り、今は何でもないわ。話を進めてもいいかしら」

 やはり平然と、穂乃果は一つ咳払いをしてみせた。

「青葉ちゃん?」

 穂乃果との視線上に、きょとんとしたみずなが割って入った。

 その純粋な視線に、青葉はわずかに残った冷静さをかき集めて、気持ちを冷ました。みずなが講義に遅れてはいけないし、忌結びをするにはこの住職に頼るほかないのだ。

「……はい、大丈夫です」

「ごめんなさいね。じゃあ、ちょっと退屈な話だけれど、付き合ってね」

 青葉が頷いたのを見て、穂乃果はやはり柔らかく苦笑して見せた。そして少し事務的な口調で話し始めた。

「四十九日、とは、死者の魂である霊体をあの世へ送り届け、次の生へとつなぐための儀式よ。四十九日間の法要を経て、忌結びを行った者たちは区切りを付ける。生者は死者と、死者はこの世とね。そうしてお互いがより安らかに過ごすために与えられた時間だと言われているわ」

「お互いに?」

 みずなが尋ねる。

「ええ。死者の方もそう。霊体の未練は、生まれ変わった後の生に影響が出るわ」

「次の、生」

「そうよ。あなたたちの魂も、この世の肉体が滅んだら、次の体に入るのを待つことになるの」

 みずなは頷いていたが、青葉はその言葉にまた眉をひそめることになった。

 霊体になったその先が、あるという。幼いころに呼んだ寓話の中に、そう言った物語があったような気もするが、工学の徒である青葉にとってはその程度の認識だ。つまり、夢物語に過ぎなかったということ。

 そんな内容が、死を扱う専門家である住職から飛び出したことで、確かな裏付けを後ろ盾に青葉の常識を揺さぶっていた。

受け入れまいと心が頑なになったのが、表情に出てしまったか。

 穂乃果がちらりと青葉の方を見て、一つ咳ばらいをした。

「……とはいっても、人によっては触れることの無い話だろうし、私たちにだって本当のところはどうなのか、なんて分からないわ。『心穏やかにお別れしましょ』。要するに、そういうこと」

 穂乃果はそう言って、今度はみずなの方をじっと見た。

「じゃあ、生者の巴さん。忌結びは初めてかしら」

「いえ、これで二回目、五人目です」

 みずなは平然と頷く。穂乃果は少しだけ驚いて見せて、すぐに泰然とした笑みに戻る。

「若いのに苦労してるのね。大丈夫よ、その功徳は必ず身を助けるわ。じゃあ、巴さんは平気ね。七日ごとの法要だけ、欠かさないこと。いいわね?」

「はい。大丈夫です」

穂乃果は小さくうなずいて、今度は青葉の方へと向き直った。

「小日向さんは霊体の方だし、今までに四十九日の経験もない……、ってことでいいかしら?」

「はい」

「じゃあ、ちょっとだけお話させてね。知ってることもあるかもしれないけど、一応、ね」

 意味ありげな溜めに、青葉は身構えた。

「じゃあ、最初に……、巴さんのところへは、まっすぐ来たの?」

「はい」

「それじゃあ、これは知ってる? 霊体が移動できるのは、生前行ったことのある場所だけ」

「……へぇ」

間抜けな声が漏れた。穂乃果がくすりと笑う。

「でも忌結びによって、あなたは巴さんの周りにいつでも戻ってこられる。傍にいてあげてね」

 一心同体よ、と穂乃果は微笑み、話を続けた。

「それから、これもちょっと寂しい話。あなたの姿を見ることができるのは、霊体と生前にかかわりのあった人、そして私たち住職だけ」

「はぁ」

「これは今からじゃどうしようもないけど……、それでいいのかもしれないわね。最後の四十九日くらい、後悔の無いように本当に親しい人と過ごして欲しい、という計らいかしらね」

「……おっしゃる通りですね」

 穂乃果はゆっくりと頷いて、お茶を一口飲んだ。つられて青葉も湯呑に手を伸ばした。

「おっと……」

 小さめの右手が湯呑をすり抜けたのを見て、みずなが吹き出した。青葉は一睨みして応える。

「そんなに笑うことないでしょ」

「だって……っ、面白いんだもん……っ。通り抜けるんだよ、物を」

 楽しそうなみずなをそれ以上咎めるのも気が引けてしまって、青葉は釈然としないながらもみずなの笑いが収まっていくのを眺めていた。その光景そのものは嫌ではなく、むしろ好ましいものだからタチが悪い。

 目の端をぬぐってみずなが顔を上げるまで、穂乃果は黙って微笑んでいた。

「仲が良いようで、何より……。じゃあ続きね。忌結びの関係は、基本的には何があっても続くわ。唯一の例外は、送る側が死亡して霊体になった時だけ。物騒な話だけど、事故とか、急病とかで可能性が無いわけじゃないわ。覚えておいてね」

「あまり考えたくはないですが」

「私もそんなことが無いように願ってる。じゃあ、最後。供養が終わった後のこと。知ってる?」

 その問いには、青葉は即答した。

「はい。『何かを持ち去る』か、『何かを与える』ことができるんでしたよね」

 穂乃果はゆっくりと頷く。

「有名な話だものね。補足するなら、それは人間の中で完結することなら、大体何でもできるわ。うちの檀家さんだと、人見知りを持って行くとか……英語を聞き取れるようにする、とか」

青葉は頷いた。

「長いように思えるけど、過ごしてみると四十九日はあっという間に過ぎてしまうわ。後悔の無いように、今のうちから何をしてあげるのかちゃんと考えておいてね」

 ちゃんとね、と穂乃果は繰り返した。

 青葉は、心得ていると頷く。穂乃果はそれに応えて、青葉たちを交互に見て言った。

「さて、じゃあ、一応確認ね。本当に、忌結びを行ってもいいかしら?」

「OKです」

「お願いします」

 みずなも、青葉も即答した。

「はい、じゃあ始めましょうか」

 そう言うと、穂乃果は脇に置いていた経典を広げて、目を落として読経を始めた。

 生前なら、恐らくうつらうつらしてしまう音声だった。時々テレビで聞くこともあったが、生声でも特に感慨はない。淡々としたリズムで、よく分からない言葉が紡がれている。

そんな中でも、みずなは目をキラキラさせながら穂乃果の経典を走る目を見つめている。

その様子を見るに、みずなの方にこの儀式が苦痛を与えることはないようだった。青葉自身にも、特段変わったところはない。ほっとして懸念を切り離す。

そして、青葉は思考を、門の前で感じた居心地の悪さに収束させる。

 今も胸の中に確かにある、それ。

その正体は、「もう後戻りはできない」という焦りのように思えた。不可解な気持ちだった。みずなと忌結びを交わして、四十九日を過ごす。全ては予定通り進んでいるのに。なぜ。

 それを探っているうちに、経を読み上げる声は止まっていた。

「はい、お終い。善い日々になるよう、願ってるわ」

 穂乃果がそう微笑んだのに、みずなが優しく息をついて、青葉に向きなおった。そして、ずい、とひざが触れ合うような距離に近寄ってくる。

「改めて、よろしくね。青葉ちゃん」

生前であれば息のかかるような至近に、みずなの笑顔がある。

「う、うん」

 急激に高まった鼓動を押さえて、青葉はやっとのことで頷いた。

 一瞬の間があって、穂乃果の遠慮がちな咳ばらいが飛んできた。

「ん、んん……。いいかしら、二人とも。あとちょっとだけお話させてもらっても」

「あ、はい。分かりました」

 みずなは青葉から離れて座りなおした。青葉は詰まっていた気持ちを一息に吐き出した。

「といっても、あと一つだけなのだけどね。巴さんはここに連絡先をちょうだい。二、三連絡があるから」

「はい、電話の方がいいですか?」

「そうね。電話がいいわ」

 みずながさらさらと書いたそれを、穂乃果は大事そうに畳んで、懐にしまった。

「ありがとう。そうしたら、これで忌結びについてはお終い。お疲れ様でした」

 そう言った穂乃果は、袈裟の袖をばさっ、とさばいて、もう一度二人を交互に見て言った。

「あとは住職サービスの時間ね。ちょっとした説法でもどう? もし、時間があれば」

 それを聴いてみずなは目を輝かせたが、慌てて腕時計を見て、しゅんと萎れてしまう。

「興味ありますけど、二限に間に合わなくなっちゃいそうなので。すみません、またの機会に」

「あら、残念。小日向さんはどうする?」

 青葉に向けた柔らかな微笑。しかし、青葉は身構えてしまった。

みずなに向けたものと、その性質があまりに違うからだ。穂乃果の声のトーンがみずなに向けたものよりも明らかに重い。

 あなたにこそ聞いてほしい、と言う圧力をかけられていた。それも、強烈に。

「……今日は、良いです」

 振り払ってやっとそう返事をすると、意外にも穂乃果はあっさり頷いた。

「そう。じゃあ、またの機会にね」

 みずなは先に出ていった。「ありがとうございました」と礼を言う声が聞こえる。

青葉もその後に付いて、立ち上がる。

「あなた。小日向さん」

予想はしていたが、やはり驚いてしまう。穂乃果の声にぐさりと引き止められた。

 冷然とした口調だった。先ほどまでの柔和な雰囲気とは似ても似つかない。振り向くまで同じ穂乃果だとは思えなかったほどだ。

 穂乃果は目を閉じて、諭すように言った。

「縛りつけようとするのは、およしなさい」

「……何のことだか、分かりませんが」

 青葉は何とかそれだけ答えた。穂乃果はそれ以上何も言わなかった。

「失礼します」

 穂乃果の返事も聞かずに、青葉はその場を去っていた。

 早足にもなってしまう。動かす必要もないのに。

 滑り込むように青葉が横に並ぶと、みずなはこちらを覗き込んできた。

「青葉ちゃん、何か言われてなかった?」

「ああ、全然。大したことじゃないから」

 青葉はただ頷き返して、黙っていた。口を開けばぼろを出してしまいそうな気がしていた。

 青葉たちはしばらく黙って歩いていたが、住宅街を抜けて、大学の近くまで伸びる街道に出たところで、みずなが唐突に両手を打った。

「あ、何か端折られたけど、青葉ちゃん知ってる? 権利関係の話」

「権利?」

「そ、忌結びに伴って生じる、法的な権利の話」

 法的、と聞いて、青葉は全身が粟立つのを感じた。青葉は一応、理系の側に立っている。その一因に、文系が操る言葉の魔術のような、そういったもののまどろっこしさに対する嫌悪があった。

「あー、いい。専門家のみずなに任すよ」

「そう? 分かった」

 あっさり引き下がったみずなは、それっきり大学に付くまで黙ったままだった。

それは、むっとしたわけでも、感傷に浸るでもなくて、特別話すべきことが無いためだと青葉は知っている。みずなの足取りは、むしろ鼻歌が聞こえてきそうなくらいに弾んでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る