第6話 高校3年、5月、6月

5月。

近所の公園の池に、怪獣がいる。

そんな噂が立った。


勿論、あり得ない。

にも関わらず、美雨ちゃんは気になったらしい。

休日を利用して、2人で公園に出かけた。

うちは模型研究会で、ミステリー研究会では無いのだけど。


待ちあわせ。

また美雨ちゃんの服がお洒落で・・・!

マジ天使。


はぐれないように、との気遣いで、手を繫いで歩く。

何か出る訳も無い池のほとりで、2人で並んで座り、監視。

途中美雨ちゃんが寝てしまい、俺もうつらうつら。

池の真ん中で龍が踊っていて邪魔だった。


その翌日は、山にツチノコ探し。

美雨ちゃんはオカルトに興味があるのだろうか?

そんなこんなで、結局GWは2人で色々出掛けた。

俺としては得した気分だった。


--


6月。

外は雨。

自宅に引き篭もり。


「先輩、暑いです」


遊びに来た美雨ちゃんが、凜夏が出掛けていた為、俺の部屋に居る。

クーラーはついているのだけど、効きが悪い。

温度下げたら寒いしなあ。


「上を脱げばちょっと涼しくなるんじゃないか?」


俺の提案に、美雨ちゃんは軽蔑の目で、


「えっち、変態。先輩、何考えているんですか。そんなに私の胸が見たいんですか?」


・・・いや、そりゃ見たいけどね。

なんかどんどん大きくなってるし。


上って言っても、カーディガンだけだよ?


「先輩、プール行きましょう」


「美雨ちゃんの水着姿を見られるのは眼福だけど、今日は雨だから出掛けたくないなあ・・・」


「またさらっとセクハラしましたね・・・」


美雨ちゃんが呆れたように言う。


「暑いです・・・暑いので、水着に着替えます」


良いの?!


「そりゃ、俺は歓迎だけど・・・」


美雨ちゃんはかばんから水着を出し・・・

うわ、際どい。

と言うか、何で持っているんだろう。


カーディガンを脱ぎ、シャツに手を掛け・・・はた、とこちらを見る。

やばい、気付かれた。


「先輩・・・何見てるんですか、本当に変態ですね」


凍てつく様な声で言う。


「ははは・・・ごめん、つい」


美雨ちゃんは溜め息をつくと、


「先輩、ちゃんと━━」


まあ、後ろを向け、かな。


「手で目を隠して下さい」


それで良いの?!


「うん、ちゃんと隠したよ」


「ちゃんと良いって言うまで見ちゃ駄目ですからね」


美雨ちゃんが困った様に言う。


・・・誘惑に抗えず、隙間から覗く。

ゆっくりと服を脱ぎ・・・下着をおろし・・・水着を広げ・・・着て・・・


もう良いですよ、と紙に書く。


手をどけると・・・


「・・・やっぱり見てましたね、この変態」


美雨ちゃんが咎める様に言う。

はめられた?!


「ご、ごめん」


ペコペコ謝る。


「もう良いです。諦めました」


美雨ちゃんが溜め息をつく。


改めて見ると・・・綺麗だ。

純白の際どいビキニ・・・こんな少ない布地・・・実にけしからん。

スタイル良いなあ・・・凄く成長している。


「凄く綺麗だね・・・触りたい」


「ちょ、先輩、何を言ってるんですか」


美雨ちゃんが手で胸を隠す。


「あまりジロジロ見たり触ったりしないで下さい・・・控え目にして下さいね」


美雨ちゃんが困った様に、上目遣いで言う。

控え目なら触って良いのか・・・どれどれ・・・


「・・・先輩、色々アウトですからね?」


美雨ちゃんが軽蔑の眼差しで言う。

ですよね。

名残惜しいが手を離す。


「でも、困ったな」


「どうしました?」


俺の呟きに、美雨ちゃんがきょとんとして尋ねる。


「美雨ちゃんのこんな姿、他の人に見せたくない」


美雨ちゃんは呆れた様子で、


「この先輩は何を言うんですかね。これは水着ですよ?」


ひょこっと座ると、


「分かりました。もう少し大人しいのを買います。これは先輩の部屋で着る専用にしますね」


ちょっとほっとした。

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