第4話 高校2年、冬

美雨ちゃんは、無事、近くの高校に入った。

俺と一緒の高校だ。

もっと良い所に入れた筈なのに。

ちなみに妹の凜夏は、遠くのお嬢様学校に入った。


さり気なく俺と同じ高校に入った理由を聞いてみたら、好きな人がうちの高校に通っているらしい。

美雨ちゃんも女の子なんだなあ、と実感する。


寂しいけど間取り持とうか、と、相手を聞き出そうとしたのだけど。

断られた。

まあ、俺も交友関係広い訳じゃ無いしね。


「美雨ちゃん、合格祝いに何か欲しい物が有る?」


俺も1日デートして貰ったしな。

勿論、女の子とデートしたのは、あれが最初で最後だ。


「そうですね・・・見たい映画があるので、一緒に見て貰えますか?」


美雨ちゃんが微笑んでそう言った。

尚、凜夏は総選挙?で1位になったとかで、忙しいらしい。


--


我が名は。

一緒に見る事で強制的に恋人になってしまう・・・そんな怪談が有る映画だ。

実際には普通のアニメ映画で、非常に面白かった。

途中の重要なシーンで、美雨ちゃんが俺の腕に抱きついてきたので、むしろそればかり印象に残っている。


次にやって来たのは、喫茶店。

カップル限定のパフェを注文した。

無事店員さんを騙しきり、パフェにありつけた。


「お兄さん・・・お腹・・・いっぱいです・・・」


「まだ半分・・・」


量が多い。

これ、食べれる人いるのか?


「寒いです」


美雨ちゃんが俺に抱きついて、体温を奪おうとしてくる。

そっと抱き返し、


「駄目だ・・・寝るな、寝たら死ぬぞ」


「もう駄目・・・です」


そっと目を閉じる。


・・・


パフェは諦める事にした。

今度からはちゃんと限界を考えて頼もう。


おや。


「美雨ちゃん、頬にアイスついてるよ」


どうやってその位置についたの。


「あれ・・・すみません、とって下さい」


何時ものように、口でとってやる。

手で取られるより、口の方が良いらしい。

まあ人それぞれ。


「有難う御座います」


美雨ちゃんが微笑んだ。

本当に天使だなあ。


その後は、ウインドウショッピングを楽しんだ。

ウェディングドレスに見入っていたのは、女の子だなあと思う。

洋服派か和服派か聞かれた。

そういう話は意中の彼とすれば良いのに。

どっちも綺麗だと答えておいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る