前田薫八の「勝手に受賞作読んでみた感想文」

第10回GA文庫大賞

個人的おすすめ作品ベスト３

１位　スクランブル・イレギュラー 悪魔使いと6つの異常

２位　最果ての魔法使い

３位　魔王バトルロイヤル 魔力ゼロでも最強魔王になれますか?

　１位の「スクランブル・イレギュラー 悪魔使いと6つの異常」は豪華客船で起こる様々な登場人物の視点で描かれた群像劇。登場人物に常識人はいるのかと思えるほどみんな個性的なキャラクターで構成されています。それぞれに目的があり、それらが絡み合ってとんでもない方向にストーリーが進むので先を予測することが不可能！　予想外の面白さに出会える一作です。

　２位の「最果ての魔法使い」はかつて世界を救った魔法使いが千年後、魔法のなくなった世界でもう一度世界を救おうとするお話。ヒロインとの関係性もなかなかいい感じで読んでいて安定感がありました。スタンダードなお話ですが、それだけに自信を持って面白いと言える作品です。

　３位の「魔王バトルロイヤル 魔力ゼロでも最強魔王になれますか?」は異世界転移系のお話。魔王が群雄割拠する世界で魔王として召喚されてしまった主人公がなぜか最強の力を手に入れてメイドたち（ここ重要）とイチャイチャします。基本的には軽い雰囲気の小説なので、手軽に読めると思います。メイドさんが大好きな主人公みたいな人にオススメ！

その他の作品の感想

「剣と魔法と幻想典」：騎士と魔法を使うヒロインが戦う学園ものになるのかな？　主人公の騎士は本来姫役のヒロインを守らなければいけないのですが、主人公はある事情があり姫役のヒロインを守りたいと思えない。しかし学園の授業で必ずペアを組まなければいけなくなり……。

「bella peregrina. カワイイ天狼の育てかた。」：ヒロインの女の子がモンスター化して主人公を乗せながらレースをする物語。いや、これだけだと何が何だかわからないと思いますが、ストーリーは王道でした。

総評

　今回はどれも面白くてなかなか迷いました。その中でも「スクランブル・イレギュラー 悪魔使いと6つの異常」は今までのＧＡ文庫にはない新しいタイプの小説だなと思います。実際面白かったですし、こういう普通とは違うタイプの受賞作が増えるとこれから面白いかもしれないと思いました。

　ジャンルとしてはやはり異世界が関係しているものが多かったですね。最近のトレンドです。その中でも現代を混ぜてきたり、どうやって使うかがポイントになってきそうだと思いました。