第10回電撃大賞

個人的おすすめ作品


1位 先輩とぼく


2位 我が家のお稲荷さま。


3位 塩の街 Wish on my precious




 1位の「先輩とぼく」はある日宇宙人により主人公の男の子と先輩の女の子の心と体が入れ替わってしまった物語。ありきたりと言えばありきたりな設定ですが、そこから発生する物語は読者の気を惹くものがありました。破天荒な行動ばかりする先輩と振り回される「ぼく」こと主人公。しかし、その先輩の行動にはある思惑があり……。

 この手の設定のものとしてはよくできている話だと思います。入れ替わり物が好きな人にオススメ。


 2位の「我が家のお稲荷さま。」は特殊な家系の主人公兄弟とその兄弟を守護する妖狐の物語。シリアスな話から始まるのでシリアス一辺倒な小説かと思いきや、意外とコミカルな要素も多分に含まれています。そのバランスが絶妙。

 神様や妖狐がいる不思議な家庭のコミカルでシリアスな物語を読みたい人にオススメ。


 3位の「塩の街 Wish on my precious」はある日宇宙からの災害により、すべての生物が塩になってしまうという現象が発生してしまった物語。主人公とヒロインがその塩の災害に関係する人々と接し、この塩による災害を考えていく話です。

 この塩の災害ですが、もちろん人間も塩になってしまいます。人が塩になっていく様子とその際の周りの心情描写はさすが大賞の一言。恋愛要素も含んだ傑作です。ぜひ一度は読んでみることをオススメします。


その他の作品の感想


「結界師のフーガ」:結界師という結界を操る女性主人公と少年のコンビがとある村で起こる不思議な祭りの謎を解き明かしていく物語。妖怪も出てきて謎解きだけではなくバトルもあります。


「シュプルのおはなし」: 短編からの受賞作。シュプルという少年がおじいちゃんの宝箱の中身からその宝にまつわる物語を勝手に想像して語りだしていく物語。連作短編形式なので区切りよく読むことができます。面白い。




総評

 今回は面白い作品が多かった! きっと豊作の年だったのでしょう。この年の受賞者も大きな活躍をしている人が多いようです。その中でも特に「塩の街 Wish on my precious」で大賞を受賞した有川浩先生は図書館戦争シリーズで知っている人も多いのでは。こういう人たちがいるのは公募に応募している人にとって希望になりますね。

 傾向としましてはコメディとシリアスのバランスがよかった印象。ジャンルとしては現代物がほとんどでしたね。「シュプルのおはなし」が少し異世界ファンタジーのような世界観でしたが、それでもシュプルが作るお話としてはほぼ現代のものなので、異世界ファンタジーものはほぼなかったといっていいでしょう。

 この第10回は本当に面白いものが多かったので購入を考えている人は迷わず買うことをオススメします!

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