第89話 ねたい

今回の風邪は前回のがぶり返しただけだったらしく一日で治った。

なので、一週間無事に過ごすことができ休日を今週は謳歌しているはずだった。

まあ、今朝から姉妹喧嘩が俺の部屋で行われてて安眠していられないんですが


「お姉ちゃん?あれほど私のGPSつけないでって言ったよね?」

「ごめんって~。もう止めるからゆるしてよ」

「毎回毎回それで済ませて、信用すると思う?」

「思わないけどさ~、栄治君の家の位置がわかったからもうつける必要ないし」


おい、この人なんて言った?俺の家の住所が知れたからもうやらない?怖いよ?夏みかんさんもヤンデレさんなの?でも俺スキー行ったときにはじめて会ったから好かれる要素ないし…。うむ、謎だ


「それで、お姉ちゃんは何で栄治君の部屋にいたの?」

そう、そこなんだよ。

目が覚めたら夏みかんさんが馬乗りになってたし。

なんならもう少しで卒業してたんじゃないかってレベルだったし。

ラブコメでこういうシチュエーションあるけど、ほんとに起こるとときめきとかより恐怖しかないんだな、燐と京が来なかったらと思うと怖くて怖くて。


「それは~、乙女のヒ・ミ・ツ」


「で、お姉ちゃんこれは何?」

明らかに声が怒っているのが感じ取れた。

怖い、怖いよ春さん。

春は自分のスマホを夏美さんに見せた。

「え、えーっと…なんでお姉ちゃんのアカウント知ってるの?」

夏美さんは汗をだらだらとかいていた。

俺も気になったのでちらっと覗くと

『彼氏とスキーなう』

『彼氏のベットに突入するぞ~』

などといった呟きと写真が乗せられていた。

どこか見覚えがあるなぁ…、いやな偶然だなぁ…

「あの、何時から俺は彼氏になったんですか…?」

「これからだよ♪、これからなれば嘘にならないしね」

「嫌ですよ、よく知らない人と付き合うとか俺は無理です」

「そんなのこれから知ればいいじゃん、今の感じを見ると誰とも進展してる感じないし、それにお父さんとお母さんが会いたがってたよ」

春に目線を向けると無言でうなずいていた。


「そうですか、では日にちは後日ということで」

「それ絶対ない奴じゃん」

「どうしてですか?」

「だって私が男たちによく使う断り文句だもん。大体男って顔とかおっぱい大きかったらいいのかね、え?下心見え見えの誘いなんて鼻から行くわけないじゃん」

俺はそこまで聞いてないんですけどね、夏美さんもストレスがすごいみたいだ。

顔はいいし、おっぱい大きいしで男子からはさぞ下卑た目で見られているんだろう


「まあ、そのうちに必ず行きますので」

「約束だよ?破ったら外堀から埋めて逃げられなくするからね」

おっそろしいなこの人。

「わかりました…」

「さっきから私が空気なんだけどお姉ちゃん私の質問に答えて」

「家に帰ったらね、私はもう用事が済んだし帰るね~」

猫みたいな人だな

「ごめん、私も帰るね」

「気を付けて」


俺は玄関まで見送りに行くと母が「女の子をひとりで帰らせるんじゃないよ」

と言い送ることになった。

まあ、パジャマ兼ジャージなのでそこまで恥ずかしくはない。

嘘、めっちゃみられる。恥ずかしい

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