第20 伊香様、イカサマ

俺は学校なんていかなくても良いと思っていた。

日本の学校は個性を消している。

だから今まで行かなかった。

でも、春と出会って話を聞いて助けたいと思った。

「何があるかわからないから、護身用のものを持って行くほうがいいな…」

俺はアマゾネスで注文した、催涙ガスなどをランドセルに詰めて学校へ行った。


教室に入るとみんながこっちを見ていた。

見世物じゃねえぞ…

周囲を確認すると、春が居た。

「同じクラスだったのか…」

いじめられているってのは本当らしい。

周りに女子達が居て机などを蹴っている。

「おい…何してんだ」

「貴方誰?わたくしに対してそのくちの聞き方、なんて無礼な…あなた方やっておしまい。」

「「はい!」」

なんだ?女王気取りか…?

「同年代なのにタメ口じゃダメなのか?」

「貴方と私では格が違いますのよ」

「格ねぇ…、人を虐めてしか自分の立場を確認するしかできない奴が格上ねぇ…

そんなんだったら俺は格下で結構」


取り巻き達が俺を殴りかかって来る。

あえて攻撃を躱わさないで受ける。なーんてカッコいい感じだったら良かったがガチでよけれなかった。

「…いってー、お前ら、そいつの言いなりになってて楽しいか?」

「うるせえ…」

「お前なんかに何がわかる…」

「わかんないよ?だって俺はお前じゃないもん」

あっけらかんとなっている。

「自称格上さん?取り巻き達にやらせるんじゃなくて自分の力でやってみたら

?」

「私がなぜそのようなことをしなくてはならないのですか?」

「あー、逃げるんだ?そうだよね、自分では何もできないから取り巻き達にやらせてるんだもんね、君たちも主人がこんなんで可哀想だね」

「いってくれるじゃないですの、私と勝負なさい」

「いいよ、俺が勝ったら春に謝罪ともう誰も虐めるな」

「私が勝ったら土下座に一生服従」

「いいだろう、何で勝負する?」

「そうですね、ポーカーでもしますか?」

「はいよ」


さてと…俺の後ろに取り巻きがいるってことは手札を教えるつもりか…

「お前名前なんて言うんだ?」

「私は、泉都伊香せんといかですわ。主人の名前を覚えておきなさい」

ポーカーを選んだってことは自信があるんだな…

「なあ、一回勝負でいいか?」

「もちろんですわ」

はあ、5人がまばたきした回数で伝えているのか

「勝負でいいでいいですの?」

「ああいいよ」

「一生服従しなさい、フルハウス」

「おぉ、流石伊香様お強い」

「流石、強いね。疑われないようにそれを選んだんだね」

俺は手札を見せた

「ロイヤルストレートフラッシュ…、イカサマですわ」

「いんや、運だよ?君の取り巻き達が嘘ついたんじゃない?それにイカサマは行けないよね?」

「…」

「みんなこれで取り巻きにしたのか?」

「…」

図星ね…

「さて、謝ろうか?ん?ねえ?」

「こんなの無効ですわ、認められるわけないでしょ」

「自分がルールだと思うんじゃねえ、雑魚が」

流石にムカついたので怒気をはらんでしまった。

「はよ、謝ろうか?」

伊香は泣いて何処かへ行ってしまった。

だがそれ以来春が虐められることはなくなった。

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