第12 幼馴染?

「栄治、あんたちょっと痩せたんじゃない?」

朝母さんが聞いてくるが、反応する気力もなかった。

「ご馳走さま…」

「あら、もういいの?育ち盛りなんだからもっと食べないと成長しないわよ」

「そうだぞ、栄治」

親父…助けてくれよ、俺のSAN値はピンチだよ。

「兄さんおはよう」

「お、おう。おはよう」

なんだ?昨日のこと覚えてないのか?

覚えてないのならいいのだが、どうしても気まずさが抜けない。

「どうしたの?なんかやつれてない?」

「ハハハ…そんなことないと思うぞ」

お前が原因だなんて言えない…

「それよりも、お前が俺より起きるの遅いなんて珍しいな」

いつもなら俺を起こしにくるのに、昨日のが原因か?

でも本人は、覚えてないみたいだしな…

「ちょっとね…」

何故か視線をそらす。

何があったの?ねえ。お兄ちゃん気になるぞ?

「そ、そうか。まあ学校に遅れるなよ」

そう言って俺は部屋に戻り仕度をした。


ピンポーンとインターホンがなる。

春か、今日はやけに早いな

「はーい、今出るんでちょっと待ってて下さーい」

ガチャっと扉を開けたら知らないJKがいた。

「あの…どちらさまですか?」

「幼馴染の、きょうだけど、栄治君忘れちゃったの?」

ヤバイ、涙ぐんでいる。

流石に朝から玄関で女の子を泣かせるのは近所から何を言われるかわかったもんじゃないので取り敢えず家に入ってもらった。

「あらあら、新しい女の子?」

おい、その言い方はやめろ。

夜神月京やがみきょうです。覚えてないですか?」

「京ちゃん?随分綺麗になって〜

可愛いから美人に変わったからわからなかったわ」

「母さん、知ってるのか?」

「何言ってんの、あんた。小2の時一緒に遊んでた女の子じゃない」

あぁ、思い出した。

「あの時の?全然違くね?」

雰囲気というか、可愛さというか、それがなくなっている。

「その言い方はちょっと…」

「あ、わるい」

「というか、なんでここにいるんだ?」

「転校してきたの、それで今日から一緒に住むことになったからよろしく」

「どゆこと?」

一緒に住むことになった?誰が?

「だから、昨日電話であんたの息子貸してって言っていたのね。いいわよって答えたんだけど」

「おいおい、大事な息子を簡単に貸したらあかんでしょ」

再びインターホンがなった。

「あら、春さんかしら?」

逃げやがった…

「それで、どこに住むんだ?」

「栄治君の部屋で、一緒に住む」

「はひ?、一人暮らしは許されなかったのか?」

「色々物騒だから、栄治君とだったらオッケーもらえた」

人の知らないところで勝手に話進めんでくれや…

「「栄治君?その女誰…」」

「兄さん…?」

みんなの目から光が消えた。

「母さん、助けて」

「あ、今日ゴミ出しの日だった。行ってくるわね」

ちょっと、助けて。

俺は逃げようとしたが、3人に拘束された。

「お、おおおちつけけけ。取り敢えず拘束をどうにかしてくれ」

「「「無理、逃げるでしょ?」」」


俺と燐と春は、2日続けて遅刻、京は転校初日から遅刻。


そして、みんなからまた「ヤったのか…」

と疑いを各々かけられたらしい。


今回は俺悪く無いよね?



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