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長くて白い足に白い靴下。とくに筋肉質というわけでもないし、まだ見苦しいというほどではない。でもたすく君は私より背が低いとはいえ平均よりは大きいのでふとももがすっかり出ている。
確かにこれは初等部の制服がきつそうだ。たすく君ならこれからももっと身長が伸びるだろうし。
「夏だけ初等部の制服にして、寒くなったら中等部にしたら?」
「あ、そうするといいね。さすが小夜子ちゃん」
別に私はリーチ君や志水先生みたいになんとなくアドバイスをしたつもりなんだけど、それでもたすく君は私の提案をおしゃれ名人みたいに褒めてくれた。
色など共通点のある中等部のズボンに初等部のブレザーはあわなくはない。たすく君は知的な顔をしているから、ジャージなんかよりはずっと似合うはずだ。
「小夜子ちゃーん」
次の授業の準備をしていると、教室の外から声をかけられた。
アリカちゃんとほしなちゃんだ。
前からシルエットが似てる二人だけど、今日の二人は双子みたいな雰囲気があった。それは二人の制服の腰に巻かれたカーディガンのせいだろう。
「今日のお昼ランチルーム行こ。今日はアリカもほしなちゃんもパンなの」
「うん、わかった」
お昼についての連絡。それが済むと二人はくるりと回ってみせた。
「見て見て、小夜子ちゃんの真似しちゃった」
「アリカもー」
二人が腰にカーディガンを巻いたのは昨日の私の真似だったらしい。
私はスカートの丈を気にしてリーチ君のパーカーを巻いただけだけど、それを二人が見て気に入ったようだ。
平均的な小学生の二人が腰に上着を巻いても大人びて見えて可愛い。
「これいいよね。ウエスト細く見えるし」
「クーラーも寒いときあるもんねー」
二人は太ってはいないけど、そこはやっぱり女子。細く見えた方がいいに決まっている。
それにうちの学校はクーラー完備だけどあつがりな男子がやたら室温を下げるから、冷えやすい女子はカーディガンを持つ事が多い。ただカーディガンはすぐ忘れたりするから腰に巻いとくとすごく便利だ。
「あ、今日の小夜子ちゃんのアレンジもかわいい。中にキャミ着てるの?」
「うん。ウニクロの」
「え、ウニクロなの?ほしなもママに買ってもらお」
どうやら二人は今日の私の格好も気に入って、真似しようとしているらしい。でも二人はサイズ的に問題のない子達なのにアレンジなんて、とモヤっとはするが言わないでおこう。おしゃれする事は悪い事じゃない。
「制服も六年着てると飽きちゃうよね」
「ねー。なんで制服なんてあるんだろー」
二人はそんな事を呟いて、元の教室へと戻った。
確かに初等部の制服はサイズは変わるが六年同じのを着る。
普通体型でサイズに問題ない子達は、飽きたりするものかもしれない。
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