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大人になってもモデル。

身長はめったな事では縮まないだろうけど、今の私の身長で大人のモデルとしてやっていけるのだろうか。

それに女性モデルの引退時期も気になる。長く活躍できる人はいるだろうけど、皆が皆そうじゃない。私みたいな初心者モデルなんていくらでもいるけど、一生をモデルとして活躍する人は一握りの人間だけだ。


「モデルは続けたいけど、一生かどうかはちょっとわかんない。私、もしかして大人になったらすごく太るかもしれないし、モデルできなくなるような大怪我するかもしれない」


素直に今の迷いを語る事にした。

モデルは髪だって好きに切れないほどだ。もし太ったら、骨折など自立できない程の病気やケガをしたら。そう考えるとこれからもモデルを目指すだなんて言えなかった。


「そうだな。モデル以外もシヤにいれた方がいいぞ」

「視野?」

「うちのねーちゃんも高校生までモデルしてたけど、それだけじゃ将来不安だからって経営に手を出してんだよ」


そうだ、確か蘭子さんも高校生まではモデルしていたという。けど大学生からは経営を勉強して、芸能事務所の色んな事を任されているようだ。


「他にもスタイリストとかヘアメイクとかやってる元モデルもいるし。モデル一本でやっていける方が珍しいよ」


確かに元モデルがプロデュースしたブランドとかもある。結構有名なモデルですらモデル以外の職業を続けているのだから、モデル一本の難しさに改めて気が付いた。


「親父さんも今からマジで女医タレントになれって言ってる訳じゃないと思う。まぁなって欲しいんだろうけど、俺らって可能性ありまくりな年じゃん」

「可能性ありまくり……」


リーチ君の言いたい事はわかるけど、自分で言っちゃうのか。

確かにまだ将来の事はわからない。小学生で学校の成績が悪い人が成長して難関大学に行って博士になったりする人もいる。体の弱い人は成長して丈夫になってスポーツを始めたりするかもしれない。

さらにその逆のパターンもあるだろう。

だから今から決める事は難しいし、可能性があるからこそ外野は勝手に言えてしまう。


「あと金の話になるけど、親父さんはどんな進路でも学費出せるって言いたいんじゃないか?」

「学費?」

「金かかるんだよ、医大とかそういう系の学校は。でも金ならいくらでも出すっていうのは品がないし、だから『医者になれ』じゃね?」


リーチ君は私じゃ考えつかないような事に見事に気付いた。

そうか、お父さんはお金の心配をさせないよう言っているだけかもしれない。

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