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ザクロ君はお父さんが亡くなったし、たすく君はその家庭環境がいまだに掴めない。聞いていいものかもわからない。
だから試しに選んだのが両親と三人の姉に溺愛されているとわかっているリーチ君だった。
円満な家庭で育った彼ならば参考になる意見が聞けると思ったけど、愛されすぎなせいかあまり参考にならない。
「ものあげるなら食器とか家で使うものがいいんじゃね?多少趣味に合わなくても使うものだし」
「あ、そっか」
なるほど。ウニクロのせいか服がいいんじゃないかと思っていたけど、服はサイズと趣味がある。
私もお父さんも細身で背が高いからちょうどいいサイズはなかなかないし、趣味に至ってはさっぱりだ。
しかし食器ならとくにこだわらない人なら大丈夫。多分うちのお父さんも喜んでくれる。
「そういやモデルの仕事については親父さん知ってたっけ?」
「電話で教えたよ。けど、なんかズレてるんだよね」
「ズレてる?」
「『最近の医者は見た目にも気を使える余裕がないとダメだからモデルしていい』とか言うの」
「……どういう事?」
どういう事かは私も聞きたい。
けどどうやら、お父さんやおばあちゃんは私を医者にしたいどころか医者になるものと思い込んでいる。
だからモデルの仕事は医者になるための経験としか思っていない。許可はあるし応援はしてくれるけと、私としてはもやっとする。
「つまり父親側は小夜子を女医タレントみたいな立ち位置になる事を想像してる、とか?」
「うん。そんなかんじ」
「まぁ医者は見た目で選ぶもんじゃねーけど、イマドキ美容に気を使ってたりおしゃれだったりすると余裕あって信用できるかもな」
「だから反対されてはいないんだけど、そもそも私、将来をそこまで決めた訳じゃないんだよね」
小学生でも明確な将来の夢があるのは珍しい。とくに私は今モデルをやっていても将来もモデルをやるとは思えない。
未来なんて何もわからないのだから、これから大怪我したり激太りするかもしれない。 そうしたら仕事なんてできない。
勿論、今モデルをやってるのは好きで楽しいからだ。モデルならこの身長も武器になるとわかって嬉しかった。多分今モデルをやめたらまた後ろ向きな私に戻ってしまうだろう。だからモデルは続ける。
しかし大人になれば多少身長が高くても何も言われない。周りも大人になるわけだから『背が高くてかっこいいね』とは言われるかもしれないので、モデルをして自分に自信をつける必要はなくなると思う。
「ぶっちゃけさ、小夜子は大人になってもモデルでいたいって思う?」
今一番聞かれると困る質問をリーチ君がした。
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