23


たすく君と先生はカフェオレ、ザクロ君からは飲むヨーグルトを頼まれる。

そして私達は一足先に食堂へと向かう事にした。

時間外なので食堂は開いていないが自販機は使えるしベンチがいくつもある。

中等部の食堂は初等部のランチルームとは全然違う。初等部はあまり現金を持たせないようにしているものだから、中等部の現金を使える環境は私には大人びて見えた。


「あれ、すいかオレないじゃん」


中等部でも臆する事はないリーチ君は、いつも来ているかのようにに自販機の品揃えを見てそう言った。


「すいかオレって何?」

「中等部限定のジュースだよ。藤子ねーちゃんがたまに持って帰ってくれるんだ」


信じられないようなその飲み物は、確かに中等部だけに販売されているらしい。しかし私達の目の前の自販機にそれらしきものはない。


「ちょっと俺別の自販機見て来る!」

「あっ、待って、リーチ君!」


よほどすいかオレが飲みたかったのだろう。それとも折角だから売られている所を見たかったのかもしれない。

あっというまに走り去ったリーチ君に向けて私はため息を付き、すいかオレ以外の飲み物を先に買っておく事にした。

……と、思ったけど、渡されたお金はリーチ君が持っている。これじゃ買えない。


私はまたため息をついて、リーチ君の帰りを待つ事にした。さすがに行動力の有りすぎる彼も、自分達がおつかい中である事に気付けばすぐ戻ってくるだろう。


足音が聞こえて、私は顔を上げる。しかしその足音は二人分、それも中等部男子のものだった。

私は慌てて目を反らす。私と変わらないような背の男子だけど、なんだか怖いし、ここは中等部なので居心地が悪い。


「あれー、初等部の子ぉ?」

「制服は初等部じゃん。見学?」

「てかデカっ、うちのクラスの女子よりデカいし」


あっというまに距離を詰められ、中等部男子二人にそのまま絡まれてしまった。

知らない人にはよく言われる事だけど、そんな身体特徴を遠慮なく連呼しないで欲しい。


「つーか高校生に見えるね」

「スカートみじかっ。子供服をむりやり高校生が着たらこうなんのなー服ぱつぱつだし」


身体的な特徴、さらにスカート丈まで指摘され、私は硬直する。

確かに私の容姿は目立つけど、ここまで無礼な事を言う人は太田とかの男子ぐらいだ。

でも目の前の男子は太田とは違う。

身長は私と同じくらいで、年上の中学生二人組だ。そしてそれ以外の情報を知らない。

だから私が最近太田にするように、無礼には無礼で返す事はできなかった。

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