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探すのなら美少女一人より、美少女ともう一人のコンビと考えた方が探しやすい。
そして誰かが撮っていたなら幽霊なんかじゃない気がする。幽霊ルールはわからないからそのへんは曖昧だけど、絶対に幽霊ではない事にザクロ君は少しだけ落ち着いた。
「……動画の現場とか、その状況とかわかる?」
「え?」
「日光の差し具合から時間を、日時の情報から人物をある程度特定できるかもしれない」
冷静になったザクロ君は鋭い。彼は絵や彫刻が得意で、状況には敏感だ。
日が高い所からさしていたら昼、低ければ朝か夕方。時間や場所を特定できれば人物はさらにしぼりこめる。
「そうは言っても動画は私の記憶だけなのですが。あ、でも場所はこの図書室だったと思います。時期は朝でしょうか」
「おっ」
「あと撮影者が逃げる時、ぶれぶれな視界から間近に中等部男子の制服が見えました。ズボンの膝あたりが」
「つまり撮影者は男だな。男女コンビで片方美少女ならかなり絞れるぞ」
中学生は小学生ほどではないけれど、男女の間に隔たりがある。そんな中付き合っていなくても仲良くしている男女は目立つはずだ。
それに先生も十年前だというのに記憶力がよく状況を覚えているし、今日だけでも情報がまとまりつつある。
あとは……
「じゃあ僕はクラス写真を覚えて、運動部員をはずして先生に教えるよ」
さらに優れた記憶力を持つたすく君が言ってくれた。
彼は一度でも見たものは覚えられる。
アルバムの中にはクラス写真とクラブ写真があるから、たすく君はそれを覚えて、朝練があるようなクラブに所属した生徒は除外すればいい。
朝の図書室なんて、朝練があって忙しい人は来れないはずだ。
「俺と小夜子は当時のクラブの成績を調べようぜ。確かエントランスらへんにトロフィーが飾られてただろ」
「あ、うん」
リーチ君は目ざとく重要な情報に気付いていた。
たすく君が脳内で部員は除外しても、そのクラブが弱小だったりしたら朝練なんてしない。逆に吹奏楽なんかは文化部でも強いと朝練をしたりする。
それを気付くためにはクラブのトロフィー実績を調べるのが一番いい。
というか、私にはそれぐらいしかできそうにないからリーチ君に気を使って貰ったんだけど。
とにかくザクロ君とたすく君は図書室で先生と情報の絞りこみ。私とリーチ君は外に出て当時のクラブ活動状況を確認する事にする。
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