21

そこへたすく君の全て覚える記憶力で私のがんばりを語られ、ザクロ君の純粋さで努力を褒められたら。

アリカちゃんとほしなちゃんも心を入れかえるはずだ。


「俺は何も言ってねーぞ。まさか二人がここまでやってるとは思わなかったんだからな」


前の席のリーチ君は振り返ってにやにやとした笑みを見せて否定した。

いつものごとくリーチ君が指示したのかと思えばそうではなかったらしい。

つまり二人の天然な行動により私は救われたのだ。


「友達ってありがたいな……」


そんな言葉しか出ない。

友達って嫌な事もあるんだな、なんて思った矢先なのだから。

たすく君・ザクロ君がこんな風に考えてくれるなら、私はアリカちゃんやほしなちゃんの反省を信用できる。


「良かったな」


そう言ってくれたリーチ君もリーチ君で私達のわだかまりにいち早く気付いて止めてくれた。

きっと私が一番傷つかない選択をしてきたのだろう。これだってなかなかできない事だ。


「うん。私、絶対仕事を成功させるね」


蘭子さんから仕事の話を聞いた時より、藤子さんから指導を受けた時より、私の気持ちは盛り上がっていた。


ゼロ組の皆が信じてくれたように、友達が期待してくれたように、私は仕事で満足のいく結果を出さなくてはならない。

もうなにもひっかかる事はないのだから。

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