限りなく透明に近い

名前を決めてなかった、募集します。

第1話

 さっそく初めよう。上手く終わらすことができるかわからない。なんせ素人の、しかも処女作だ。大目に見てやってほしい。

 まずは自己紹介からだろう。そうだな、天野って呼んでくれ。

 私は自分が実際の世界に住んでいないことはわかっている。別に天国だの地獄だのなんだのではなく、この話の世界の中でしか生きられないことがわかっている。もし、ここで話を終えてしまったら、ずっと無のままである。それは悲しい。そこで、試してみたいことがある。しかもなかなか面倒な。

『もし、言葉が消えて行く世界で、物語を紡ぐことは可能なのか。』

 括弧をつけてみたが、上手くいかなかった。補足しよう。

 ランダムに選んだ言葉をけして、物語を書く。

 母音は便宜上消さない、もし消すとしても最後の方。

 ある言葉が消えたら、その言葉の濁音と半濁音、促音も消す。

 消えた言葉はずっと消えた状態にあるとする。


 こんなところでどうだろうか。何かミスを見つけたら、言ってほしい。

 なんの物語を書こうか、全然決めてなかったな。最初はなんでもいいか、もうそろそろ終わらせたいしな。


 ある子音を使っていないんだか、わかってくれただろうか、まぁ、わかるはずもないだろう。

 ところで私は他の人とは明らかに違う所がある、だが、その言葉が消えているから上手くいえない。自分でもなんで生きながらえているかよくわからない。まぁ、小説の中だからな、なんでもありなんだろう。

 かよっていないんだ。体内に。赤黒いあの液体が。その組織も管もあるんだか、なんせ流れるものがない。何故ならこの世からすでにその語が消えているからね。



 第1話 世界から『ち』が消えたなら、終わり。


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