征歴一九六〇年
世界を二分した大戦争が終結し、十数年が経った。戦後の混乱期は収まり、人々はようやく平穏を取り戻しつつある。
しかし、勝者側である二大国はそれぞれ相容れぬ主義を掲げ、対立を深めた。
一つは社会共産主義を掲げる東のソフィエス社会主義共和国連邦。
もう一つは自由資本主義を掲げる西のアトラス星集連合国。
すわ三度目の世界大戦かと一時期は危ぶまれた。が、もしそうなれば人類滅亡は必至。
人はそこまで愚かではない。二大国が新たな覇権競争に見据えたのは、宇宙。まだ、誰も到達していない最後のフロンティア。
その場所に先んじた者が己の主義の優位性を世界に知らしめることができる。
先制したのは、ソフィエス。一九五七年。世界初の人工衛星「PS」を発射し、地球周回軌道に成功。西側諸国に衝撃を与える。
遅れて、一九五八年。アトラスも人工衛星「アルゴ」を発射、成功に至る。
その後、数回の成功、失敗を経て、両国は有人飛行計画を始動。
アトラスは空軍士官から七人の飛行士を選抜、その者たちを「
ソフィエスはアトラスのような公式発表はせず、秘密裏に空軍飛行士から候補生を選抜。候補生たちは極秘施設に集められ、訓練を開始する。
人類初の宇宙飛行士、「飛宙士」を目指して。
宇宙。この星に生命が発生し、数十億年、誰もが見上げ、憧れた場所。
そこに初めて至る者は、誰か――
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