自作詩・秋刀魚は高いけれど

連作のように前回の詩の最終行から、少し早いですが秋の詩に入っていきます。どんなシチュエーションで料理をするかっていうのはぼくは凄く想像しちゃうのですね。馬鹿馬鹿しいかもしれないけれど、やったら面白いだろうなぁ、という詩です。


『秋刀魚は高いけれど

やりたいように焼いている』


七輪で秋刀魚を焼く

いつかオーロラを見ながら

いつか月面で地球を見ながら

七輪で秋刀魚を焼く


そんな日を夢見て秋刀魚を焼く

じゅじゅ、と油が落ち

匂い立ち

焼けた皮が

パチパチと誘っている


煙たくてくしゃみをすると

今夜の客の

野良猫が苦情を申し立てる

失礼、と頭を下げて

まだ七輪で秋刀魚を焼いている

まだ見ぬ人を思い秋刀魚を焼いている


焼けた秋刀魚を掲げると

夕陽が皿のようだった

また野良猫が催促している


慌てるな今夜の客はおまえだけだよ



◇◆◇◆◇



少し早いですが、秋の詩に。ちなみに"夏の盛り"、"過ぎ行く夏" から続く連鎖的な作品ですので順に読むと楽しめるかと思います。


次回はまた食に関わる詩を紹介したいと思います。夜に書いてるから腹が減って仕方ない。

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