自作詩・過ぎ行く夏

晩夏の頃ですね。そろそろ前回書いた詩の丼は終わりを迎えます。過ぎ行く季節を感じるのは、やはり食べ物なぼくはいやしいのだろう。


《過ぎ行く夏》


夏は過ぎ去り

もうお前はいない

初めて出会ったあの店からも

お前の面影はすべて取り払われている


今はお前との

一夏の思い出の余韻に浸るばかり


夏の陽射しさえ苦にせず

お前に会うため歩いた

潮の匂いに満ちた

川沿いの道から見える空には

イワシにサバにウロコと

秋の雲が泳いでいる

あゝ、過ぎ去りし夏にお前を想う


でっぷりと太く

どん、と大物ぶり

熱い出汁と玉子にとじられた

くりぃみぃーな岩牡蠣よ

丼の中のお前にまた来年、会いに行く


だが、今は秋刀魚が食べたい

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