自作詩 陰膳

あるご老人の体験を詩にしています。内容的に置き場がないからこちらに。


『陰膳(かげぜん)とは、旅行や出征その他に出た不在者のために、その者が旅行中に飢えたり、危害を加えられ安全を脅かされたりしないように祈り願って、留守番がその者のために留守宅で供える膳である。安全祈願の呪術のひとつ。「蔭膳」とも記す。』

Wikipediaより


『陰膳』


麦のにぎり飯ひとつと

湯気の立つ番茶を

祖母は毎日、欠かさず

床の間に供えとった


そうして折を見ては

手を合わせて、神さんやら

仏壇にもたくさん、たくさん

手を合わせてた


まねしたら

あんたはえぇ子だな、て

頭を撫でられて

嬉しくていっそう

手を合わせた


ちっせぇときだから

分からんかったが

戦地のおじさんが

あっちで腹が減らんよう

無事に日本の土が踏めるよう

願ってたんやな


番茶は一日中、湯気を

上げていたよ


◇◆◇◆◇


しかし陰膳、ホラーな詩とか呪術的な詩か書けそう。若くして死んだ方を慰撫するために擬似的に結婚する、とか。絵馬であったような。土着の風習なら詩になりそうですね。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る