第2話
「ピピピ...ピピピピ...」
う〜ん、もうちょっと寝ていたい。
そう思って、時計の針を見てみるとまだ6時15分
今日は昨日の雷で壊れたパソコンを直しに行く予定だったのだが、これはいくらなんでも早すぎである。音を発している携帯を手に取りOFFにした所ではたと気付く。
いつ僕はアラームをセットしたのかと。
普段は大学で勉強をするがそれは午後からなので、9時くらいに目を覚ますのだが...
そこまで思考を凝らした所で、画面の右端であるアイコンが表示されていた。
「...ん?何だこれ?...」
それは、少女が天に向かって祈っている影が描かれており、しかしダウンロードした覚えのないものだった。
とりあえずそのアプリを起動してみる。
「...おはようございます。当時間は午前6時21分33秒、固有名<アイラ>起動しました。」
…え?なにこれ? どうこと…
「末野みのる様、今日の予定はパソコンの修復を行いに電気店に向かいます。」
なにも設定していない情報がすらすらと流れ出ていく。
それは、無表情な顔をしていた
美少女だった。
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ガタンゴトン...ガタンゴトン...
電車の中で車輪の音がこだまする。そんな中、一人今朝のアプリについて考えているものがいた。
(どう見てもダウンロードした覚えのないのにアイコンが増えてるし、さらにその声主はとびきり美少女だけども喋り方は人間味に欠けてるし、どう見ても最近流行りのネット彼女にしか見えない。しかしただのアプリでは無い証拠に設定していない僕の名前を呼んでいたし、今日の予定を何も言わずにプラン設定したり、天気予報を秒単位で教えてくれる。前半はまだいいとして後半はどう考えてもおかしい。しかも天気予報を秒単位とはいくらなんでも正確すぎる。これでは予報ではなく「予定」だ。)
そこまで思考をめぐらした所で、携帯の主は僕に声をかけてきた。
「みのる様、今日の午後2時31分45秒ににわか雨が降ります。その前に自宅に帰ることをおすすめします。」
「..ご丁寧にどうも...」
だからなんでそこまで正確なのですか!?
心の中で軽くつっこみを加えながら、ふと思いついて「普通」の天気予報アプリを見てみると、そこには雨の可能性は0%になっていた。
周りを見回すと傘を持っている人は見かけられない。しかし、この娘いわく雨が降ると断言している。
(まぁ、降ろうが降るまいがどっちでもいいけどね。)
そんなことを思いながら、電車内のアナウンスに耳を寄せていた。
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「いやー、やっとついた」
この炎天下の中踵を返さず電気家電の聖地
(コ◯マ電気)にたどり着いた自分を褒めて欲しい。今年は例年に比べ猛暑日が続いているんだとか。
(下手したら死ぬぞこれ...)と、恐怖するくらい暑かった。
「...やっぱりにわか雨はガセかな?」
そう錯覚するほど快晴だったのだ。
(もう今日は早めに直して電車乗って帰ろう、絶対そうしよう。)と、心の中で密かに決意した。
ところで、この少年は路地裏から注がれる視線に気づけたのだろうか?それはまるで、この世の邪悪をかき集め一つにまとめたように、気味が悪い視線に。
冷酷者 @mikumikuro
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