第23話 君誰だっけ?
久し振りに部活に相談の依頼が来た。
場所はいつもの応接室。
最近、個部に対しての学校側からの見られ方が変わったのか、学校のお茶やお菓子は手伝いの時だけなら食べても良いらしい。
栗まんじゅうウマ~。そういえば、栗まんじゅうは最初、栗を使っていた訳じゃなくて焼いた姿が栗の姿や色に酷似していた事から名付けられたらしい。
「お久しぶりです」
「誰だっけ?」
「ひどい!」
前に会った事あるみたいだけど、全然覚えてない。
特徴がなさ過ぎて忘れたのかな。
「俺です。田辺です。この前、恋愛相談をした」
「・・・残念ながら」
そう返すと田辺は深い溜息を吐き、ドスンとソファに座り込む。
「じゃあもう良いです。えっと相談って言うのは・・・」
「恋愛相談なんだろ、誰なんだ?相手は」
田辺は少し溜めて、真剣な面持ちに変わる。
「風見さんです。」
「思い出した!」
「そこでですか!?」
当たり前だろ?だって蒼は俺にとって大事な娘みたいなもんなんだから。
だから、君がどんな青年か分かるまではお父さん許さないぞ。
呆れた田辺と父性に目覚めた俺は会話を続ける。
「それでですね。どうしたら良いですかね?」
「いや、知らねえよ」
「随分とあっさりですね!?」
そりゃそうだ、年齢と彼女いない歴が等しい俺に何が言える。
今言えるのは、そんな判断力のない男には蒼はやらんぞ!という台詞しかない。
お前も蒼も相談相手を選ぶ、力が欠落している。
「お前はこれからどうするつもりか教えろ」
「はあ。まず、きっかけを作って仲良くなります」
抽象的だな。男が苦手な時点で仲良くなれないんだろうな。
「仲良くなったら、二人っきりで遊ぶ機会を増やします」
女子が言う二人っきりは良いけど、男子が言う二人っきりは下心としか思われないから
「頃合いが来たら、告白します」
その頃合いは、いつ来るんだろうね。
「成功したら支え合い、愛し合い生きていきたいと思います」
そこまで考えているのか・・・気持ち悪いなお前。
若干引き気味な俺は一つの確実にこいつがフラれる原因が分かった。
蒼の男への苦手意識だ。これはどうにも出来無い。
俺もある程度の会話とスキンシップをしてるけど、
ほとんど最後に「先輩のそういう所苦手です」と言われ続けている。
本当に男が苦手なんだな。
いや、あいつ好きな人居るからそいつ以外がダメなんだ。
一体誰なんだそいつは?
「まあいいや。とにかく、どう接点を持つかだな」
蒼相手には生半可な始まりじゃ他の男らと変わらない。
最低限、俺と同じ位の中にならなくちゃいけない。
そういえば、俺と蒼ってどうやって会ったんだっけ?
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