第16話 相談しちゃダメですか?
今日も先生の手伝いをして好感度を上げる
手伝いの内容は、生徒の悩み相談。
悩みを持った生徒がいるが先生には言えないらしく、俺達・・・というか俺に相談を聞いてやれという、おかしな手伝いが始まった。
応接室を特別に使う事になり、飲み物が乗っているテーブルを挟んで真っ黒のソファに座り、顔を見合わせる。
イケメンという訳でも無く、不細工という訳でも無い顔で。ぱっと見は中肉中背の普通の男子生徒って感じかな。
漫画とかの一回だけしか出て来ないモブキャラみたいな雰囲気だな。
確か先生は一年の
相談はされる側じゃなくて、する側だからなぁ。
まぁ、蒼の時の様に恋みたいな複雑で無縁な物じゃないだろうし多少は楽だろう。
「えっと・・・満君。君の相談はなんだ?」
満は目を泳がせ、顔を赤くする。
う~ん、既視感!嫌な予感がするぞぉ?
「・・・好きな子がいるんでし」
そうでしか。噛んじゃいましたね。予想通りだよ。
彼は羞恥に耐えられなくなったのか、右手で顔を押さえる。
「告れば良いんじゃない?」
すんなりと俺の答えを言ってみると、彼は煮え切らない態度で答える。
「それはそうなんですけどぉ。それが出来たら苦労はしないというか・・・」
大体そんな物だよな。好きになった事に気付いてから、いつものように会話が出来無い、接し方が変わる、格好つけようとする、いざ告白しようとすると弱気になって当たっていかない。フットワークが軽すぎるのはダメだと思うが重すぎてもダメだと思う。
色々言ったけど、簡単に言うとそう簡単に結果なんて変わる物じゃない。
だから、結果なんて時間が経っても同じだろう。
遅かれ早かれ、振られる奴は振られる。砕ける奴は砕け散る。
人によっては粉砕、玉砕、撃砕する。
「その子はどんな子?」
とにかく、情報を集めて適当に背中押して告らせれば良いだろう。
「同じクラスの・・・風見 蒼って人です」
前言撤回!面白そうだから真剣に相手をしてやろう!
「ああ、その人は知ってる。じゃあ君はその子のどこを好きになったのかな?」
「可憐で、おしとやかで、集団を好まない一輪の花みたいな所です」
恥ずかしい事をバンバン言っているこの少年に言いたい。
蒼は友達がいなくてどうしたら良いか分からないくて黙っているからそう見えるだけなのだと。
「そ・・そっか、で君の相談は何なんだ?」
「どうしたら良いでしょうか?」
「質問を質問で返すなぁ!」
「はい!」
驚いた彼は速攻で返事を返した。
全く今時の甘ちゃん野郎は・・・。さて、こいつの告白を成功させてやりたいけどどうしたら良いんだろう。
思考を巡らせているとドアの開く音が邪魔をする。
そこには短髪のいかにも強気な女子生徒が腕組みをしている。
「ミッチー帰るよ!」
「
えっ?お前ミッチーって呼ばれてんの?じゃあこっちはミッ○ー?
もうよくわかんないよねぇ。ハハッ!
女子生徒は満を引っ張り部屋を後にする。
その時、俺は落ち着いた声で言った。
「いつでも相談しに来い。協力してやらなくもないぞ?」
俺だけの応接室に甘酸っぱい青春の香りが漂い、消えて行く。
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