第5話 部活が変じゃダメですか?
前も言ったが
そして兼部している部員が半分いる。
部長としてみんなに顔だけでも見せに来いとでも言うべきだが、それは絶対に避けたい。
理由は個性が強すぎて部室が混沌に包まれるからだ。
だから今日は混沌の種の部員二人は呼ばなかった。
「氷室の個部入部を祝して、カンパーイ!」
「カンパーイ」
俺の乾杯の声に続く四人の声。
部室は軽く飾り付けされている。
「・・・」
「・・・」
俺はコップを手に無言で一定の距離を取り、相手の出方をうかがっている氷室と後輩の
何だこいつら・・・。ああ、そうか!蒼は友達いないからどうしたらいいか分かんないんだ。で、氷室は知らない人間の前では借りてきた猫みたいに警戒するからこんなことになったのか。
いやでも、真剣を持った侍の斬り合いみたいな雰囲気には普通ならないよ。
「おい、二人とも。固まってねえで会話しろよ」
「えっはい。会話のドッチボールですね!」
ぶつけ合ってどうする。キャッチボールしろよ。
蒼がテンパり過ぎていつも以上にダメな子に!まかせてられないな。
「氷室。こいつは一年の風見
蒼は俺の台詞に合わせ礼をする。白銀の髪が揺れ動く。
氷室は小さく礼を返し「よろしく」とだけ言う。
そこで会話が途切れる。
「おーい、ゆう君。」
「
「?」
なんだか分かって無いようだけど、まあいい。
このまま部員紹介をしていれば、話題には事欠かない。
「えっと、こちら個部副部長で三年の橘先輩」
俺はしゃがんで先輩の紹介をする。橘先輩は顔も身長も幼く見えるのでかなりの生徒は後輩だと勘違いしている。茶髪と言うこともありお人形さんみたいだ。
「君が氷室ちゃんだね!私、
「ど、どうも」
先輩はこの部室のぬいぐるみの山を作った張本人。
全てのぬいぐるみが先輩作でクオリティとレパートリーがすごい。
基本、部室にいるときはぬいぐるみの山に埋まっている。
コミュ力はあるが、見た目と性質が特殊な優しい先輩である。
「部員はあと二人いるんだけど、今日は来られないそうだから紹介はまた今度」
「そう」
やっと慣れてきた氷室は口調が少し柔らかくなった。
「で、最後に個部の顧問の川崎せんせ・・・」
先生の座っていたソファを見ると先生の姿は無く、メッセージの書かれた紙が残っていた。
「ちょっと仕事があるから先に帰ります・先生」
「ええぇ」
ここは特殊な部活動。先生すらも変である。
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