第13話 『もうひとつの出発』

 私は、彼の『保護者』です。


 しかし、意識としては、『相棒』である。


 と、考えています。


 仕事上は、いつも共同して対処しますが、それは、常時連れだって行動すると言う意味ではありません。


 ばらばらに動くことも多いのです。


 今回も、また、そうです。


 今回の相手は、非常に狡猾で、資金力も技術力も政治力もある、個人であると同時に、強力な組織です。


 我々は、まあ、かっこよく言えば政府の潜入調査官ですが、実際のところ、個人的には、そうたいした力はありません。


 あくまで、政府の力なのです。


 それは、『世界市民』の力です。


 もっとも、私は『アンドロイド』であり、人間ではありません。


 ロボットと、どこが違うのかと言えば、今の地球政府の基準から言えば、体の組織が人工で、しかも人類と共通している部分が50%以上はあることです。


 細かく言えば『アンドロイド猫』も、『アンドロイド熊』もいるわけです。


 ただし、わたくしの場合は、99%が人工人類なのです。


 文字通りの『人造人間』なわけなのです。 


 究極の『アンドロイド』と言って、差し支えないと思います。


 しかも、きわめて頑強に出来ております。


 銃で撃たれて組織が多少壊れても、すぐに再生できます。

 


 私どもは、しかし、『頭脳統制』を受けています。


 これは、『アンドロイド』の暴走を防ぐ目的があるから、なのですが、政府側は、あくまで『平和的な意図である』と表明しているわけです。


 どんな人間にも、すぐに、『なれる』という意味では、非常に合理的で便利な存在なのです。


 まあ、このあたりは、気にしても仕方がない事ですし、気にしませんけれど。


 いずれにせよ、我が『相棒』の保護のために、今回も私は出発しました。


 身分は、ミス・カンプの経営する鉱山の、『技術支援アンドロイド』です。


 一応、女性形態であります。


 まあ、なかなかの、『美女』だと、認識は、しています。






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