第8話 『到着』その2
決して、広大ではないが、コンパクトにまとまった空港がある。
大型の輸送船が、二隻、係留可能なのだそうである。
それとは別に、ぼくたちが乗っているような小型の宇宙船が発着できる、十分なスペースが用意されている。
『美的感覚を重んじる』ミス・カンプのことであり、空港はこざっぱりとした、良い環境に整備されていた。
映画に出てくる、なんとも怪獣が出そうな雰囲気とは、本来、別世界なのである。
第一、明るい。
職場における照明の大切さは、わが政府もさかんに宣伝しているが、これは本当の事である。
とはいえ、ここは玄関口であって、工場ではないし、ぼくは会計の方が専門で、あまり施設そのものや、製造系の事は詳しくない。
でも、良い雰囲気である。合格。
ミス・カンプは、疲れというものは、知らないらしい。
「じゃあ、さっそく、工場見学します。工場長がご案内しますね。わたくしは、仕事があるので、事務所に行きます。見学が終わったら、来てください。」
顔中、ひげだらけのおじさんが、待機していた。
頑丈そうなヘルメットをかぶっているので、奥まったところにある、きらきら不気味に輝く目以外は、何も見えていない。
「ああ、工場長の、『ド・ラク』です。よろしく。では、防護服、防護靴、防護眼鏡、ヘルメットを着用してもらって、ざっとですが、施設を見て回りましょう。大方の場所は、モノ・レールで移動可能です。じゃあ、着替えをします。」
おそろしいくらいの美女が、そばに来ていた。
『新時代万国博覧会』の、『コンパニオンさん』という感じであり、ちょっとこの場所とは異質な感じもしたのだが・・・
青のワンピースに、白い帽子。
印象的な大きな胸に、すらっとした足が眩しいくらいだ。
「では、どうぞ、こちらに。」
ぼくは、青い線が取り囲む、まるで高い城壁のような建物に入って行った。
空には、大きなドームが薄く光っている。
その先は、ただ、暗黒の宇宙である。
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