第7話 『到着』その1
『太陽系外縁天体』は、概ね、氷と岩の塊だけれど、その大量の存在の中には、文字通り『宝のかけら』もかなりたくさんあることがわかったのは、そう昔のことではない。
「かけら」といっても、指先でコロコロできると、いうようなものではなく、それなりの大きさというものがある。
核融合には欠かせない物質が発見されたり、レアメタルが出て来たり、びっくりするようなことがらがたくさん起こった。
ま、そのかなり前には『第9惑星』が発見されていたが、技術的に開発可能となった後も、こいつは、あまりに大きすぎて、個人レヴェルではどうにもならない代物であり、しかも、軍事上きわめて有益な物資が発見されたため、大国同士が壮大な利権争いをした末に、あやうく地球滅亡の事態にまで大接近したが、なんとか、共同開発する方向で合意できたのは、まあ、つまりは、単なる幸運だったにすぎない。
大物が、なぜか、あいついで死亡しただけのことだ。
一方、太陽系辺境惑星は、こうした争いのさなかに、恐れを知らない個人資本家が、どんどんと、開発に手を付けたのだ。
こいつの開発には、それなりの『資金』が必要になるが、当たればその利益も大きい。
太古の時代の、『ゴールド・ラッシュ』のようなものだった。
ミス・カンプの場合は、超大金持ちだった祖父の代から開発に挑み、最も成功した実例となったのである。
まあ、『辺境惑星開発の伝説』とまで言われている。
『第10資源小惑星』のほかにも、5つほど、『資源小惑星』を所有している。
しかし、こうして一緒に旅していると、特に『神様か鬼神か!』、というような感じはせず、ごく、当たり前の、ひどく気の強いお姉さまなのだが。
『結婚はしない!』という信念があるのだそうで、独身を貫いている。
ぼくの、『最終試験』の後、我が宇宙船は、特に何の問題も発生せず、目標の『第10資源小惑星』の近傍に達した。
近くから見ると、それなりに大きい。
しかも、ごつごつした岩山ばかりで、人間が住めそうな場所は見当たらない。
「こりゃあ、大丈夫かいな~~~?」
と思っていると、小惑星を周回しているうちに、ぼこんと窪んだ平地が見えてきた。
そこには、所狭しと、大きな工場らしきものが、立ち並んでいるのだ。
壮大なドームで覆われているところが多い。
しかし、むき出しの場所もある。
一か所だけ、不思議なほどに『緑』が繁茂しているらしき場所もあった。
やがて、更に接近すると、宇宙港らしき施設が浮かび上がってきた。
どうやら、強力な照明に照らされているらしい。
そこには、搬出用の、巨大な、しかも赤や白や青の施されているらしい、たいへん、カラフルな貨物船が、どかっと停泊しているのが分かる。
ぼくたちは、そこに向かって、ぐんぐんと、降下してゆくのだった。
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