第4話 『出発!』その2
それからの数日はすさまじく忙しかった・・・
と、言うのは嘘で、身の回りの、どうしても、持って行きたかったものを、カバンに放り込むだけである。
衣服は、身体に溶剤を吹き付ければ済むので、昔のように気にする理由はない。
デザインも、自由自在である。
特に大切なのは『くまさん』である。
ぬいぐるみの『くまさん』だが、ただものではないことは当然なのである。
そこらあたりについては、おいおい話が出るであろう。
一言で言えば、つまり、ぼくと地球とを結び、身の安全を図ってくれる『生きているぬいぐるみさん』なのだから。
難しかったのは、相棒の方だ。
彼女は(アンドロイドだが)同行すると言って聞かなかったのである。
しかし、今回は単身赴任が大原則なので、こいつは却下せざるを得なかった。
彼女は、それなりに、抵抗したのだが・・・
「あたくしは、あなたの世話役です。妻にも等しいのです。それに相応しい行為もきちんと、行うのですもの。もし、あたくしが行かなかったら、きっとあなたは、いかがわしい行為に走るに違いありません。」
まあ、十分間違ってはいない。
というより、やや違う意味で、図星になったのだけれども。
まあ、彼女は、人間ではないが、事実上の妻としての役割も果たしてきていたのだから。
しかし、子どもは出来ない。
ぼくには、まだ子供を作る許可が出ていないのである。
課長は、しかしこう言った。
「今回成功したら、そろそろ家族も持たせてやりたいと思うんだ。」
「まあ、あまり信用せずに期待してます。」
アンドロイドの相棒・・・(ジャニス)は、そうなったら『秘書』という事になる。
『妻』と『秘書』の争いというようなドラマは、まあ、まずは、起こらない。
そこは、アンドロイドの『心理』というものは、きちんと操作されるからである。
***** *****
ぼくは、あの超美人社長と共に、『第十資源小惑星』に向かう事になっていた。
旅程は、たかだか、足掛け3日、事実上50時間程度である。
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