第3話 『合格と出発その1』


 それから、三日後、ずいぶん早かったのだが、電話が入った。


「ああ、あなた、合格です。あす、9時に出社出来ますか?」


 地球事務所長だった。


「え、はい。大丈夫です。ありがとうございます。」


「では、その時に、出発の段取りなどしましょう。身支度の用意を始めていてください。」


「わかりました。」



 *****   *****



「連絡しましたよ。」


「いいわ。帰る便で、いっしょに連れて行くから。」


「はあ、えらく、お気に入りですな。」


「ふふふ。まあ、試験は100点。あの問題で最後まで全部解いた人は初めてよね。」


「まあそうですが。しかし、出来すぎですよ。そこまでの仕事は求めてないですから。」


「あら、よく出来ることは良い事よ。あなた、ご自分の地位が危ないとか思う?」


「いやいや、そりゃあもう、あなたのご判断ですよ。」


「ふうん・・・。まあ、いいわ。でも、集めた資料から言っても、あの『ぎー・ぴー・えす会計』に以前勤めていたし。優秀なのは確かね。でも、精神的に弱いところがある。とね。そこが、魅力ね。」


「そう・・・ですか。」


「そうなの。かわいいわ。妹にしたいくらいね。実際、かわいいでしょう?」


「たしかに、肉体労働向きじゃない。」


「もちろんよ。」


「でも、社長、注意はしてくださいよ。最近当局は政権が代わって以来、必ずしもこっちに好意的じゃないですから。あの首相は、独裁者志向ですよ。」


「ふうん。それも、わかってる。招待の件はどうなの?」


「前向きに考えるとは、言って来てます。どうやら、資源惑星には興味がおありのようですなあ。」


「できるだけはやく、実現させましょう。組合長にももっと働きかけて。」


「了解。特別会費の払い込みはしました。」


「それでいいわ。ああ、じゃあ、南アメリカ国の首相に会うから。」


「ええ、車待たせております。」



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