第3話 エロトピア連続殺人事件
主人公は神戸市で起こった殺人事件を担当する刑事となり、相棒のヤスオと共に事件の背景を探り真犯人に迫っていく。
黒い噂の絶えない金融会社「ローンたまきん」の社長・海川耕造が殺害された。しかし耕造の発見された部屋は完全な密室であった。兵庫県警の刑事である主人公(ボス)は事件の究明のため、部下のヤスオ(真野康男)と共に捜査を開始する。
この密室で、一体何が起きたというのだろうか?
「奥さん、犯人がわかりましたよ」
「え!? 主人は、誰に殺されたんですか?」
「ボス、さすがですね。捜査を開始して1分しか経ってないのに」
「ふふふ……捜査と早漏はすぐに出すってね。答えをね」
「刑事さん! 下ネタ言ってないで早く教えてください!」
「まぁまぁ奥さん、そう焦らずに……歯をたてないようにやさしくね……」
「ボス、そろそろいいかげんにしないと、奥さんに刺されますよ」
「おっと、いけない、いつものクセで。奥さん、その包丁をしまって下さい」
「まったくもう! 本気で殺すつもりでしたわよ!」
「ははは……かないませんなぁ」
このボスと呼ばれる男の名前は、下根 太郎(しもね たろう)。
彼は、いままでにいくつもの難事件を解決してきた凄腕の刑事なのだ。
ただ、いつも下ネタばかり言っているので、職場の女性には嫌われている。
また、セクハラ認定されるも、何とか事件解決の功績があるので、ギリギリ職は辞されていない。最近、奥さんと離婚したようで、悩みでハゲが進行している。
さて、この刑事は、一体どんな方法で事件を解決してくれるのだろうか?
「事件解決のカギ、まずは、そこの本棚を調べてくれ」
「はいボス……えっと、これといって、おかしな点はありませんよ? 株関係の本ばかりです」
「そうじゃない。カバーを取るんだ」
「カバオ君を寝取る……ボス、そっちの気がある変態だったんですか? NTR属性?」
「コケーッ! そうじゃない、本の中身を見るんだ!」
「ボス、コケーッって古いですね……あ、これは……!」
「ふふふ……そいつが犯人なんですよ、奥さん」
「刑事さん! 一体どういう事ですか? 私には訳がわからなくて包丁を振り回したくて仕方ありません!」
「あぶないですなぁ、奥さん。いや、これは失礼。では、こうしたら……いかがですかな?」
カバーを外した本の中身は、卑猥なエロ漫画であった。
「ああっ……! まさか主人は……そんな……」
「おわかりになりましたか奥さん。ご主人はエロトピアの愛読者であり、それを隠すために本にカバーをしていた。奥さんはそうとは知らずにご主人の大切なバックナンバーを捨ててしまったのではないですかな? エロトピア愛読者にとって記念すべき第1号初版を捨てられたとしたら……それは想像に難くないですな。ご主人はそれを失ったショックで死んでしまったのです。これをエロトピア症候群と呼びます。それが、今回の事件を生み出したんですよ。」
「まさか……犯人はエロトピアだったとは……いや、ボス、おみごとです」
「まて、ヤスオ。ふくをぬげ」
「えっ? 一体ボスは何を言って……」
「いいから脱ぐんだ!」
「わ、わかりました……」
すると、そこには、ヤスオの背中にはエロトピア第1号初版が隠されていた。
「ヤスオ……お前が犯人だったのか……」
こうして事件は解決した。
しかし、その傷跡には、悲しみではなく、奥さんの羞恥心だけが残っていたという。
完
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