第8話 鐘内君の嫉妬狂い




『なれる』上位の鐘内はここ最近機嫌が悪かった。





最愛のヒロイン(予定)の夜見さんが黒峰のことばかり見ているからだ。


おかしい?


ヒロインである彼女は僕に惚れる運命のはず?

だが、主人公である僕が嫉妬なんてみっともない感情に囚われるはずもない。


だが、黒峰、奴は『ざまぁ』されなければならない。

何か弱点はないものか・・・



見つけた・・・

見つけたぞ・・・




昼休み





鐘内は黒峰に声をかける。




「くくく、まさかお前も小説を書いているとはな」



「・・・」

※一応バレないように気を配っていた黒峰




「『かくよも』なんて『なれる』の2軍サイトで、しかも底辺作者・・・ははは・・・とんだ雑魚じゃないか」

公衆の面前で格の違いを見せつけてやるッ



尋常でない雰囲気にクラスに動揺が走る。

「おい、夜見、あれ放っておいていいのか?」

「でも、でも、今行ったら、バレちゃうかもしれないし」



「はぁ・・・ヤダヤダ、どろぽん先生・・・小説の書き方のイロハもわからないのによくアップする気になったものだ」




「こんな小説、1話でブラウザバックするわ・・・ははは」

黒峰の顔が真っ赤になる。

正直言い返す言葉もない。




「読者?・・・ああ、あの『黄泉の国』とかいう有名な『粘着荒らし』が居たかな?」


(なんだとぉ)




「はっきり言おう・・・お前の低レベルな小説なんて、『誰も』読まないんだよ!!」




ガタッ



椅子から立ち上がる夜見


「夜見・・・お前いいのか、ヲタバレしたくなんだろ?」


紗子は声をかける。聞こえていないようだ。


後ろ姿からでも伝わる圧力、

彼女から『白い煙のようなモノ』が立ち上っているように見えた。



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