第59話
【リズムドライバーは打ち切りと言う気配はなかったように見えたが――】
【4クールだと打ち切りには見えにくいからな。2クール未満だと打ち切り言われるが】
【しかし、あの作品は視聴者層を間違えたのが痛かった】
【過去にはキッズ系として作ったはずが、視聴者は主に中高生だったというのも――】
【この辺りは事前のリサーチミスだろうな】
【そうとは限らないぞ。リサーチミス程度ならば――まだ何とかなる。ネタアニメとして認識され、炎上する方が――】
【それよりも、二話連続再放送は大きかったな】
【ネット上だと既に配信もあるのだが――】
ネット上にはリズムドライバーの再放送が終了し、様々な反応が存在する。
ネット上の公式配信も存在し、彼女は――そちらで視聴しているのだが――。
「やっぱり、あの作品は人を選ぶのかな――」
まとめサイトを見て、彼女は少し困惑気味な表情をしているが――あの作品は賛否両論なので、この辺りは仕方がないと思っていた。
リアルの草加市では、さすがにリズムドライバーのようなSNS規制もなければ、ネット炎上を阻止する為のガーディアンもいない。
炎上を何とかしようとする動きはあるだろうが、ガーディアンのように素早い対応をするような事例は非常に少ないだろう。
【そう言えば、ラストの方というか最終話近辺はアイオワ視点が多かった気配もするな】
【スノードロップはラストバトル後も出てきたが、メインはアイオワだな】
【主人公はハルトだったのでは? 確かに彼も出番がゼロだった訳ではないのだが】
【他のキャラも出てきたが、あのタイミングで新規キャラはいなかったような気配もする】
【途中でデスフラグ的な退場をするキャラがいなかった分、そこで炎上する事はなかったが――】
【デスゲームが禁止されている世界で、それをやるのはタブー以前の問題だ。それこそご都合主義と言われて炎上する】
【ここ最近のWEB小説でも、超有名アイドル商法に批判的なネタが題材になった小説が存在する――それも一次創作で】
【その題材で二次創作をやったら、それこそ炎上する。アイドルアニメやアイドルゲームのアイドルをあてはめて――と言うパターンになれば、そのファンを批判して煽る目的にすり替えられるだろう】
【二次創作と言っても、夢小説的なカップリングネタ以外では一部キャラの救済ネタが多いな】
他のつぶやきもチェックするのだが、彼女にとってはノイズにしかならないだろう。それ以上に、作品の評価をまともにやっているレビュアーがいないのも――気になる所ではあるが。
リズムドライバーのその後を二次創作でフォローしようという勢力は多いように見えるが、やはり――あのエンディングに不満があったのだろうか?
見方によっては丸投げエンドにも見えかねないような終わり方だったのも――こうした動きを活発にした原因かもしれない。
女性向けでない漫画作品等で特定カップリングをゴリ押しする様な傾向で内だけ、まだリズムドライバーは救われている可能性も高いだろう。
彼女自身は二次創作に興味がないので、これ以上は検索をしなかったが――夢小説だけは様々な小説サイトを検索する度に見えてしまう為、そこだけが気になっていた。
「リズムドライバーの影響で、リズムゲームの見方を変えるゲーマーが増えている。それだけは――」
リズムドライバーはアニメ作品であり、フィクションなのは間違いない。しかし、この作品の影響でリズムゲームの見方を変えるのは風評被害と言えるだろう。
リズムゲームで
超有名アイドルの楽曲をゴリ押しする様な傾向を批判する人物もいるが、それよりもレベルが違う風評被害が拡散している。
【リズムゲームでゲームオーバーになると現実でも消滅する】
まるで、リズムドライバーがデスゲーム小説を原作にしたかのようなフェイクニュースが拡散し、それをまとめサイトや大手ニュースサイトでも取り上げ始めていた。
こうした事実はないとゲームメーカーが説明しても、話を全く聞かずに炎上させようという勢力が――と言う繰り返しが続く。
(まずは――プレイする事から始めるか)
ユニコーンのコスプレをした女性は、オケアノスとは違ったアミューズメント施設に入っていく。
その形状からして、アニメのように大規模な施設ではないのは分かるだろう。駐車場の大きさも、一五〇台入ればよい方か?
施設の自動ドアを抜けると、その先はダーツコーナーが見える。受付も見えるが、あれはメダルゲームの受け付けなどではなく、カラオケの受付らしい。
もしかすると、カラオケボックス等も入った複合的施設かもしれないだろう。
近くに見えたエレベーターに乗り、二階へ向かう事にする彼女――プレイするゲームは当然決まっていた。
二階に到着すると、彼女の目の前に留まったのはリズムゲームの筺体である。エレベーターを降りてすぐではなく、数歩ほど歩いて――視界の中に入って来たのだ。
形状に関しては明らかにリズムドライバーに出てきたソレとほとんど同じであり、唯一違うのはガレージやセンターモニターの様な物はなく、使用するのも棒状のコントローラだけ――。
他のプレイヤーがプレイするような様子がないのは、ネット上でも言及されているあの都市伝説に影響を受けているのだろう。それを無視する様なプレイヤーだけがプレイをしている。
それでも、四台ある筺体は全てがプレイ中ではない。四番台だけがプレイ中と言う状況で、残り三台はデモ画像が流れっぱなしである。
「あのプレイヤーは凄いな――」
「女性プレイヤーだろう? メイド服にツインテールなんて――」
「もしかして、コスプレイヤーか? 草加市ではコスプレイヤーが普通に街中を歩いている噂もある」
「男性プレイヤーはいないのか?」
「さっきまではいたかもしれないが、別の機種へ移動したようだ」
ギャラリーから聞こえたつぶやきを、彼女は聞いていた。爆音設定ではないので、小声の様に声のボリュームを下げても聞こえるようである。
決して、彼女が地獄耳と言う訳ではない――とは思う。プレイ中の女性も、プレイに集中していて聞こえている様子はないようだ。
二番台の前に立った彼女は、周囲を見回してコイン投入口を探す。アニメのように電子マネーオンリーではなく、タッチする箇所以外にコイン投入口が確認出来た。
《二プレイ二〇〇円》
アニメでは一プレイ二〇〇円だったのだが、こちらでは二プレイ二〇〇円だった。一〇〇円入れても一プレイと言う認識はされないので、二〇〇円入れて初めて認識されるのだろう。
「やってみるか――」
彼女は、一〇〇円硬貨を二枚投入し――プレイをする事にした。
筺体のモニター前には筒状のコントローラーがあるのだが、おそらくはこれがアニメ版ではブレード型のガジェットだった物かもしれない。
(これがリズムドライバーの元ネタ――?)
思う個所は色々とあるのだが、まずはプレイをする事にする。彼女の眼は恐怖で怯えるような物ではなく――先の展開を気にする様なわくわくした気持ちの表情だった。
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