首無し女が走る
「なあ?こんな噂を知ってるか?最近、夜な夜な首の無い女が走ってるんだってよ」
いつもホラを吹いてばかりの友人が、いつもと同じ軽い口調で怖いことを言ってくる。
「またお前の大好きな嘘だろう?」
「嘘が大好きだなんて褒められちゃ困るな。でも今回に関しては嘘はついてないぜ」
確かにコイツは人をからかって遊ぶのは好きだが、怪談じみた嘘はあまり言わない奴だ。
「しかしな、首無し女が走るだなんて話、信じられないな」
「ははーん、さては怖いのか」
「別に怖くない、そんなもの」
「言ったな?じゃあ夜に川沿いの公園に行ってみるんだな。ちゃんと行ったっていう証拠写真寄越せよ?」
「上等だ」
という訳で川沿いの公園に来てしまった。何してるんだ俺。季節外れの肝試しだと思って証拠写真を撮っていたら、後ろから近づいてくる地響きのような足音。
ドッドッドッドッ……。
振り返ると、確かに彼が言った通りの光景が広がっていた。そして、やはり彼は人をからかって遊ぶのが好きな奴だと実感した。
しかし、怖くないと威勢を張ったが、首が認識できないほど脂肪がついた町一番の太っちょおばさんが、鬼のような表情で真夜中にランニングをしているのを見るのは少し怖い。
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