卒業アルバムと青
押入れの整理をしていたら高校の卒業アルバムが出てきた。懐かしくなって、作業を止めてついつい中を見てしまう。
クラスメイトの写真の下に書かれた名前を見ると、当時の思い出が蘇ってくる。ああ、帰り道よくユウちゃんとマックに寄ったなあ。アキとは文化祭の準備でケンカしたっけ。今じゃいい思い出。そして、私の初恋の人のヒロくん。あの頃は青春してたね。青い春だね。
などと感傷に浸って更にページをめくってたら、隣の部屋で遊んでいた息子が駆け寄ってきた。そう、私も一児の母。もはや青春は思い出の存在。
「ママ、なにみてるの?」
「昔の写真だよ。ママが18歳の頃の」
「ママどれ?」
学年全員の集合写真のページだったから、探すのにちょっと手間取った。
「これだよ」
「ほんとだ!いまとあんまかわらない」
それは嬉しい。良い子だ。
「パパは?」
「あー、パパはここに映ってないんだ」
残念ながら。
噂をすれば影がさす。夫が部屋に入ってきた。
「そっちがサボってる間に風呂掃除終わったよ。お、卒アル?」
「うん、私の華のJK時代」
「でもパパうつってないやつ!」
「あーそうそう、集合写真の日に熱出しちゃって。左上にホラ」
青い楕円の中に、真顔のヒロくん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます