寒くなってくると無性に食べたくなるのが鍋。


 最近はおひとり様ようの土鍋も売られているから便利である。もちろん、一人よりも複数人でつつくほうが美味しいのは言うまでもない。


 鍋奉行と呼ばれる人種がこの世には存在する。いわゆる仕切りたがりの一種だが、鍋についてのみ奉行っぷりを発揮する人もいるようだ。

 具材を入れるタイミングや並べ方など、他者の介在を許さないので、楽といえば楽かもしれないが、食べたいものを好きに食べられないもどかしさもある。


 ある時、生まれて初めてこの鍋奉行と囲むことになった。こちらが手伝おうとすると、眉間に皺を寄せるので次第に場は鍋とは逆に冷えていく。

 あまりにも度が過ぎるので、ついそいつの頭を鍋の中に突っ込んで「好きにやってろ」と言い放つ。


 ということが起こりそうなので、鍋奉行と一緒に囲まないことを祈る次第である。

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