第2話
ーー。
漠然とした恐怖と似た違和感に目を覚ます。
痛い。目がシパシパする。仮眠のつもりが熟睡してしまったみたいだ。
取り敢えず違和感を特定する為に少しづつ状況を整理し始める。
目の痛みと怠さから察するに僕は長い事眠りに落ちていた。
ここは元いたラブホのベッドじゃない。
そして何故だろうか。
僕の四肢が動かせない。
起き上がろうともがくがベッドのポールに繋がれた鎖がガシャン!ガシャン!と音を立てるだけだった。
鎖を鳴らしてはもがき、鳴らしてはもがきを数回繰り返した所で僕が拘束されている事に気が付いた。
「やっと起きた?」僕の腹の上に舞が腰掛ける。僕の上で網タイツに包まれた程よく肉付いた脚を組む姿に不覚にも美しいと感じてしまった。エロティシズム。冷たい目で見つめられる。
こんな冷徹な表情を浮かべる事が出来たのか。
「おい。これ、外せよ。僕は拘束される方じゃないぜ。」
突き刺さる様な眼差しの冷たさに一瞬怯むが、いつもの様に冗談っぽく笑い、強がってみる。
「いいえ、好きよ。君はこういうのが好き。本当は望んでいる筈だもの。」
顔色一つ変えずに言う。漠然としていた恐怖が濃い輪郭を持ち、鋭く胸に刺さった。
「何を言っているのか理解できないよ…。」
「いいえ、わかっている筈。君は自分の感情を閉じ込めているだけだわ。それとも私に説明して欲しいの?」
ぐにゃりとした物が身体中を這いずり回り、頭の中で蒸発する様な嫌悪すべき感情が吹き出た。
嫌悪すべき快感の波。
「あげる。」
そういうと口の中にラムネだろうか。甘ったるいお菓子を捻じ込まれた。
頭がグワングワンする。
ああ。
「好き?好きでしょ。こういうの。」
ハイヒールを雑に脱ぎ捨て、俺の身体の上から足先を鼻先に近づける。
「やめろよ」
質の悪いプラスチックの様な臭いに思考回路がどんどん遮断されていくのが感じられる。
「舐めて。」
僕の意思と反対に彼女のつま先は口の中に侵入してくる。
意識。朦朧として逆らえない。
ちゅぷ。ちゅぷ。
言われるがまま無心で舐め続けた。
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