肉欲と乾いた体液

梅練り

第1話

ねっとりとした腕が僕の脇腹を執拗にさする。顔に手を添えられ、唇が触れる。「ああ、もう逃がさないわ」とでも言いたげに舌が濁流の様に僕の口をこじ開け、絡まり、吸っていた煙草は煙を上げジリジリと灰が伸びていった。

何故、女性は行為中ではなく行為後に積極性が増すのだろう。

そんなことを思いながらベッドに目をやると乱雑に放り投げられたコンドームが歪な形でひしゃげていた。まるで彼女の価値を力なく囁いている様に見えた。

はぁ。

憂鬱。

退屈しているのだ。同じ前戯、同じルーティーン、同じセックス、同じ事後。

はぁ。

怠い。そんな事を考えていたせいか頭がクラクラするな。

「舞、ごめんね。僕寝るわ。」

物足りなそうな頭を撫でてやり、ホテルのベッドで目を閉じた。

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