第4話 損壊

 冷凍庫では昨日残ったご飯がおそよマイナス18℃で保管されていた。冷凍された稲穂の残骸を取り出して、一食分には十分な量であることを確認する。

 続きまして冷蔵庫を開扉し、ピーマン、玉ねぎ、人参、豚バラ肉などなどを取り出して、さあチャーハンを作ろう。両親がいなので自分でなんとかするしかない。

 不揃いなリズムで不揃いな野菜と豚バラ肉を不揃いに切り、フライパンにごま油をひく。

 どこに昨夜の残飯をぶちこんで、木べらで乱暴にかき混ぜる。味付けは醤油と塩胡椒。隠し味は焼肉のたれだ。入れるとちょっと甘くなる。

 あとは適当に炒めて、ホラ、完成。家庭チャーハンの女子高生風味だ。

 食べる。

 それなりの味がする。

 そこで私は思いました。ナンバーワンオンリーワンウルトラワンを目指すこの私がそれなりの味で満足していいのか、いや、よくない。私はここから更なる飛躍を求めなくてはならないのだ。

 私といえば女子高生、すなわちこのチャーハンに女子高生的プレミアム感を追加すればパーフェックツに違いない!

 そこで私は机の上に仁王立ちし、スカートをたくし上げた。徐に紐レースなパンティを脱ぎ捨ててしゃがむ。股間の下には平凡チャーハン。

 The Only Neat Thing to Do!!

 そして黄金聖水が迸り、特製スープチャーハンが完成した。

 机から降り、さっそく特製スープチャーハンを味見する。ほのかなアンモニア臭が絶妙にブレンドされていた。これが美味しいのかわからないが美味しいに違いないので美味しいと感じることにした。美味しい!

 とあらば、この味を町の世界の隅々までお届けせねばならない。私は特製スープチャーハンを手に家を飛び出した。ああ、誰かこの素晴らしさを享受できる人間はいやしないものか!

 私は疾駆した。一陣の風となり街を駆け抜けた。

 まず入れ歯をふがふがさせている老婆に伝える。

「そこのおばあちゃん、特製スープチャーハンだよ」

「ヘルシンキパラダイス!」

 次に選挙カーで絶叫するウグイス嬢に伝える。

「これが待望の特製スープチャーハンなの」

「鈴木頭突、鈴木頭突に清くても濁っていてもいいからとにかく票を! 票をぉぉぉぉおおおおお!」

 そして下校途中の男子小学生に伝える。

「ほら、美味しそうでしょ。これが特製スープチャーハン」

「お父さん、お父さん! 魔王のささやきが聞こえないの?」

 燦然と輝く素晴らしい一報を聞いた町民はこぞって歓声を上げ、「幸福だ!」「幸福だ!」「然らずんば死を!」「ぱっらしゅれりおおいうの!」「蜍ヌ雋 _^[テ瑞S 貴佝AfヌEャ f閉・ウクh U@ jjj庚フQ偽Mリ笛V 3メS・フj 影芍ヌ!!」あれ?

 金髪。茶髪。黒髪。路地裏。犠畿ヌEリj 影ワ蔚ヤf 窺・ 私は三匹のアルマンコブハサミムシに遭遇したので、特製スープチャーハンを味見しないか勧めようと思ったのだが、彼らは別のことに関心があるようだった。

「o蟠凬・゜ネc8・じゃね?」

「鐔鰹α輯イ鐔� 鐔э秀鐔�終��絖���行こうぜ」

 黒いアルマンコブハサミムシが強引に私の手を掴み、そのせいで特製スープチャーハンを落としてしまった。嗚呼、私だけの宝石がこぼれ落ちていく。大勢にとっては何の価値もないようなごみくずが誰かにとっては代えがたい宝石であることもあるのだ。けれどそういうたった一つの宝石はいとも簡単に踏みにじられてしまう。みな踏みにじったことにすら気づかずに足早に去っていくのだ。

 私は金属バットを振りかぶり、カ>オヌM・GfサYス^N曚麈Cv徐・テVlCi)ヨK・惚ラテ絎た。

「愆m玄d\欄・ア・箙キ[癇現゛!」

「>゛シMC敢h・I墲ホ!」

 アルマンコブハサミムシは筌� 」リ」ル」レで、私の竺軸】宍雫l優ト2Iゥ掛挌/ル・饗同QBロ。そして 蔚ミ庚ミd・顔面。悲鳴。鼻血。・偽ミd・ 鰄 孔フP・ネ蚋 Qj畿 P・ R助けて。て。て。。て。

「次大声dζ・}ク・偽らミ 貴フか帰+Aケ なななな咸なロ}」

 幸福。制服。征服。 x tリ幸福?ヌE・ ;リ}

「こいつむねでけーな」

 ――t・|;リ・ ・f

 人生が壊れる音を聞いた。

 ・}ケフ蚋 ・【誰か】。欣畿フチ・鐇ラX偽ミd・ [句]テ瑞振駆QS・助けてよ。

 私は処V子W犠・t&攻・女をそうテ丘を喪失した。

 

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