間章 前夜、ある者達の問い
夜更けのことだった。
涼しいとは言い切れない、肌に
それは
忍者と
猫のように丸めてなお大きな上背から、更に大きく突き出て天を
そこからは見えないはずの場所を、ただ
「−−−−良かったのか」
不意に、それは
自問、のはずだ。
けれど、それは誰かに問い掛けているようで。
「…………」
それきり、それは何も言わなかった。
肯定の意の沈黙か、それとも
ふと、それは上を見上げた。
そこにあるはずの空は無く、〈世界〉がその身で黒にも近い
瞳を
天を
光を
どちらでも無いように思えるのだが、そうでなければなおも変らぬ明るさを説明する事ができない。
もう一度、風が吹く。
それは煙のように立ち消え、その場には誰もいなくなっていた。
か細く、何処かでひぐらしの鳴く声がした。
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