レベル239
ようやくリミットブレイクの後遺症も治まってきたので、ティニーに体の調子はどうか聞いてみる。
オレが地面を転げ回っているときに色々試してたようだし。
というか皆、ちょっとはオレの事も心配してくれよ!
「まあ、いつもの事だし」
そうだけどよ!
「で、どんな感じなんだ?」
「ん~、まだちょっと急に大きくなった所為か、どっか違和感があるっすね」
「まあ、それはそのうち慣れるだろ。銃のほうはどうだ?」
ティニーは左右の腰にそれぞれ一丁ずつ、合計2丁の銃を持っていた。
聖銃モードと同じ見た目ではあるが、あの☆11というレアリティの性能があるのだろうか?
「いや、これは普通の銃みたいッス」
「軽くて扱いやすいってとこはいいけど、弾を込めるのが面倒ですね」
サヤラがシリンダーをはずして一発ずつ弾を込めている。
ああ、それはスピードローダーを使えばいいんだよ。
「スピードローダー?」
「ああ、え~と、シリンダーのサイズの円状の台に弾を付けておいて、それを差せば一気に全弾装填できる仕組みだ」
「あっ、それってもしかしてコレっすか?」
ティニーが弾容れらしいポーチから、穴の空いた文鎮のようなものを取り出す。
おお、ソレソレ。
あっ、確かに凄く楽です! 今までの下から弾込めよりもとんでもなく早くできます! っと、サヤラがはしゃいでいる。
弾を込める、という点のみでいえば、オートマチックよりもリボルバーの方が早かったりもする。
一発ずつ下から込めるよりも、開いた穴に弾を置くだけですむからな。
しかしそのリボルバー、弾無限とかじゃないのか?
まあ、人型スタイルの場合はレアリティが低かったから仕方ない。
代わりと言っちゃなんだが、サヤラが持っていた弾丸練成のスキルが増えてたな。
フフフと黒い笑みを浮かべながらサヤラがティニーの肩を叩く。
これでティニーにも、商売用の弾丸作成を手伝ってもらえるよね。と、ガシッと掴む。
えええ……うち、ほら、このリボルバーの弾丸しか作れないっすよ? と、青い顔でブルブルと左右に首を振る。
ティニーは一番、サヤラの隣で地獄を見ている。
「大丈夫、熟練度を上げればきっと他のも作れるようになるから。……逃がしゃしないわよ?」
絶望的な表情を見せるティニー。
まあ、頑張れ。
オレもティニーの銃を貸してもらう。
おおっ、軽いなコレ。
サヤラの魔法銃は一瞬だが魔力を込める必要がある。
しかし、それがこちらには無い。
あとレバーが三段階あり、シングルアクション・ダブルアクション・フルオートが選べるようになっている。
欲しいなコレ、一つもらえないかな?
「いいっすよ、二丁あっても仕方ないし」
「いやおめえ、左右、両方の手に一丁ずつ持ってツインハンドガンとかしないのか?」
「弾込めができないっすよ?」
それもそうか。
レヴィさん、どうやって弾込めしていたのだろうか?
リボルバーとオートマチックじゃ装填数が圧倒的に違う所為もあるのかもしれない。
ということで一丁貸してもらえる事になった。
「そんな事よりクイーズさん、うちのもう一つのクラス、聖銃。どんなものか確かめてくれないっすか?」
「そうだな……」
『戻れ! ティニー』そして『出でよ! 聖銃・ティニー!』
スキルはモデルチェンジ(3)とリロード。
銃としての性能は基本、先ほどティニーが腰に差していた二丁拳銃と同じだ。
しかしこっちにはリロードと言うスキルがある。
さすが☆11というレアリティ、ある意味、弾無限状態!
ガンシューティングゲームのように視界外に向けてトリガーを引けば自動で全弾装填される。
だが、これには欠点もある。
視界外、に向けてトリガーを引けば装填だ。
即ち、視界外には銃を発砲できない。
前を向いたまま後ろに撃つ。などの芸当は無理なわけだ。
まあガンシューのゲームがベースになっているなら、テレビの画面外に撃っても反応はしないわな。
一回やってみたかったんだけどなあ。
ほら、キサマ、後ろにも目がついているのか!? などと言われてみたいジャン?
えっ、柄じゃないって? ほっとけよ!
そして次にモデルチェンジ。
これが実はとんでもないものだった……
モデルチェンジって事は、リボルバー以外の銃になるんじゃないだろうかとは思っていたのだが。
なんと! 荒野な時代から一気に進化して、最新鋭のスナイパーライフルに!
しかも対人じゃなく対物ライフルのようで、当たった瞬間爆発する。
数キロ先の大木が根元から折れる。
いや、ライフルの弾は爆発しないよね?
と、その威力に呆然としていたのだが。
それより凄いのが三段階目。
ちょっと時代が進み過ぎていた。
出てきたものはコクピットのような設置型の望遠台。
円柱形の建物から望遠鏡のようなものが生えている。
背後に扉があり、そこを空けると中には椅子が一つ。
その椅子の前には望遠鏡を操作する操縦桿がある。
オレは椅子に座り、操縦桿を握って望遠鏡を覗く。
するとだ! まるで上空から地面を見下ろすような景色が見える。
そして地面には赤く点滅するサークルが映っていた。
もしかしてコレ……サテライトキャノン?
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