レベル135
オレは早速、ヘルクヘンセンへ赴き、ダンディにそれとなく伝える。
「なるほど、なるほど。それは良い考えかも知れませんな。むしろ主も一緒に学校へ通ったらどうですかな?」
レリンと混じってか? 無茶言うなよ。
さすがに、この年で小学生に混じるのはきつ過ぎる。
「ならば我輩が手取り足取り」
「いらねえよ!」
そういやレンカイアはどうしている。
えっ、今の時間は家庭教師にみっちりしごかれている?
真面目に取り組んでいるようで、この調子なら数年でモノになりそうだと。
後で顔でも出して見るか。と、レンカイアの元へ向かったのだが……
「これはこれはクイーズ様! ようこそいらっしゃいました! 貴方のご恩に報いる為、このレンカイア、身を粉にして働く所存でございます!」
これはまた……随分変わったな。いや、元に戻ったといった所か?
「大丈夫か骸骨? 洗脳教育とかやってないだろうな?」
「いや別に、ちょっと主がこの者の為に尽力した話を、色を付け・コホン。説明申しただけである」
骸骨、またかおめえ……
「別に間違った事は言ってないわよ。態々この子の国まで出向いたのは本当の事でしょ?」
またオネエ言葉になってるぞ骸骨。
別にレンカイアの為にあの国に向かった訳でもないのだが。
まあ、結果的にはそういう感じになったのは確かだけど。
「でしょ?」
「あくまで結果がそうなっただけだ。別に恩に感じる必要はないぞ」
「っ、はいっ!」
感動した面持ちで返事を返してくる。
分かってないなこりゃ。まあいいか。
「それではレンきゅん、これからは、我輩の個人授業といこうかね」
こんな夜中になんの授業をするんだよ?
セクハラは男同士でも犯罪だぞ。
ほら、なんか怯えているぞレンきゅん。
「クイーズ様までレンきゅん言わないでくださいよ」
「別にセクハラなどしておらんぞ。きちんと帝王学を教え込んでおる。……まあ少しだけおちゃめな部分もあるがな」
そう言って、ペッケペーとメイド服を取りだす骸骨。
「ちょっとコスプレしてもらって、眺めて楽しむがぐらい良いであろう」
良くねえよ! あっ、でもちょっと見てみたい気も。
「我輩にも仕事に対する対価が欲しいでござる」
「そうか対価か、うん、家庭教師代の対価じゃあ仕方ないよな?」
ブルブルと首を振っているレンきゅん。
おい骸骨、あるのはメイド服だけか? なに、色々取り揃えて居るって?
おい、ちょっと見せてみろ。
おっ、これなんていいんじゃね、バニーガールの衣装とか。
つってこれ、ラピスの抜け殻じゃねえか。
こんなとこ置いていたのかアイツ。
「ちょっ、ちょっと兄貴?」
レンカイアが怯えたような表情で見てくる。
すまない、コレもお前の成長の為に必要な事なんだ。
「そんなこと言って楽しんでません?」
良し、偶には授業風景を参観するのも良いかもしれないな!
「あにきぃーーー!」
ということで、レリンは暫くヘルクヘンセンの骸骨の元に預け、学校に通わすことになった。
「私が参謀……お兄ちゃんの参謀……うん! 頑張る!」
そう言いながらも、ちょっと寂しそうなレリンちゃん。
「まあ、毎週顔を出すから、そんな寂しそうにするな」
「うん……」
「なあなあ、ハーも付いていっちゃ駄目なのか?」
学校には大勢人間が居るぞ?
えっ、レリンの為ならそれぐらい耐えて見せる?
いい心がけだ! よし、つでに、
「サウも行くか?」
「勉強キライ」
そういうな、学校は勉強だけでない。楽しい事もきっとあるぞ。
それにハーとレリンだけだと心とも無い、お前が居てくれたらだいぶマシだろう。
悪戯好きなサウだが、三人の中では一番、冷静に物事を見られている。
戦闘になって一番頼りになっているのが実はサウなのだ。
前回の宝物庫戦でも、サウの機転であの鎧を倒せたと言っても過言ではない。
なっ、お前も二人と離れるのは嫌だろ?
「……アノ場所が、いちばん暖かい」
サウの奴……
「それではこうしましょう」
なぜか見送りに来ていたパセアラが口を開く。
「ここの転移魔法陣を朝夕繋げます。そうすればそちらの国から通うことも可能でしょう」
「いや、転移魔法とか大掛かりすぎじゃないか?」
「問題ないですわ。ここの魔法陣は私が起動しているのですから」
えっ! そうなの!?
ということは、パセアラは時空魔法のスキル持ち!?
「なるほど、なるほど。そうすれば朝夕クイーズと会えるという訳か」
「べっ、別にそういう意図はありませんわ!」
私はお飾りだから手が空いているだけなのっ。とか、子供の世話まで見て居られない。とか、色々言っている。
「ハッハッハ、弁解すればするほどドツボにはまりますぞ!」
「っ、もう!」
パセアラが骸骨の背中を叩いている。
叩かれた骸骨はハッハッハと笑っている。
随分二人、打ち解けているんだな。
それを見てラピスがポツリと呟く。
「チッ、せっかくのダンディ飼育係計画が」
「ハッ、そういえばそうで有る! また我輩、飼育係になるとこであった!」
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